むし歯と歯周病の仕組み
歯は「食べる」という生命維持に不可欠な行為の出発点―。ところが、歯の大切さを軽視し、治療を先送りにしたり、予防を怠る人が少なくありません。激痛のようなはっきりした症状が現れたときには、すでに歯の疾患はかなり進んでしまっています。 ・0度 歯菌などから出る酸で硬組織(エナメル質)は侵されていますが、穴は空いていません。 フッ素などによる再石灰化処置が必要です。 ・1度 エナメル質だけに穴が空いています。 自覚症状はないことが多いですが、穴は埋めなくてはなりません。 ・2度 エナメル質の下の象牙質まで侵されます。 ここまで進行すると、冷たい水や空気が歯にしみるようになります。 ・3度 歯髄まで侵され、歯髄炎をおこして痛みにおそわれます。 ここまでくると、神経を抜く根管治療が必要になります。 ・4度 歯冠のエナメル質や象牙質はなくなってしまい、歯髄も死んだ状態です。抜歯などの処置が必要になる場合もあります。 歯周組織に炎症がおこる病気を総称して「歯周病」と呼びますが、このうち、炎症が歯肉に限られているものを「歯肉炎」といいます。 歯肉炎の原因菌は好気性菌と呼ばれ、酸素を好むため歯肉の表面にすみつき、炎症を引き起こします。 炎症をおこして腫(は)れてくるのは、歯と歯の間の歯肉です。健康な歯肉はピンク色をしていますが、歯肉炎になると三角の部分が赤くなり、腫れて盛り上がって見えます。炎症が進むにつれて、歯肉はさらに赤く腫れ上がり、ブヨブヨしてきます。
目のしくみ
目は光によって物の色、形や遠近、動きなどを感じる感覚器です。 眼球の黒目を角膜、白目を強膜といいます。角膜の後方には眼球内に光を入れる瞳孔と、入る光の量を調整する虹彩があります。 瞳孔から入ってきた光は、水晶体とゼリー状の物質でできた硝子体を通って、いちばん奥の網膜に達します。網膜では映し出された明暗・形・色を視細胞が感知し、視神経を通して大脳に伝達します。 また、網膜の周囲には、脈絡膜、強膜など複数の膜があり、眼球を保護したり、栄養や酸素を与える役目を果たしています。 眼球は、6つの外眼筋という筋肉のはたらきにより、見たいと思う方向へ視線を制御しています。 視覚をつかさどり、人間が外界からキャッチする情報全体の約80%を処理する目は、感覚器のなかでもっとも重要な役目を担っています。そのため、目の周りには、眼球を保護するためのまぶた(眼瞼)や、まつげがあります。 眼球の表面を保護するまぶたは、数秒間に1回程度まばたきをして上眼瞼の裏側にある涙腺から分泌される涙で眼球の表面をうるおし、ほこりなどを洗い流します。 さらに、まつげも眼球に異物が入らないようガードし、根元のマイボーム腺(まぶたの裏にある皮脂腺)から油分を分泌して、角膜の表面を乾燥から守っています。
免疫機能の乱れによる不調
免疫機能の中心となる白血球は、体内に侵入した異物(抗原)を攻撃してからだを守ってくれますが、ときには、このはたらきが逆効果となることがあります。 免疫機能が何らかの原因で異常をおこすと、攻撃の必要のないものまで攻撃したり、抗原の威力がそう強くないものに過剰な攻撃をしかけたりしてしまいます。これらのことが原因で、体内の正常な組織や細胞が破壊されてしまうのです。 免疫機能の異常からおこる症状の一つは、アレルギー反応として現れます。アレルギーとは、体内に侵入した、"アレルゲン"という原因物質を攻撃するための抗体が、正常に機能しないためおこるものです。 この抗体は、「肥満細胞」に付着しますが、そこにアレルゲンがついてしまうと、肥満細胞内の化学伝達物質である"ヒスタミン"が血液中に大量に放出されます。ヒスタミンは、毛細血管を拡張する、気管支を収縮させる、血圧を上昇させる、浮腫やかゆみを引き起こすといった作用をもつため、大量に体内放出されると、かゆみ、鼻水、充血、じんましんなどのアレルギー反応がおこります。 代表的なアレルゲンは、花粉、ほこり、動物の毛です。
免疫機能不全による病気(膠原病、全身性エリテマトーデス)
膠原病とは全身の関節、血管、内臓など、広範囲に障害をおこす病気です。 血液中の抗体が、正常にはたらかず、自分の細胞に反応するなど異常な振るまいで自らの組織を攻撃し、発病すると考えられています。 発熱、倦怠感、関節痛や、手足の動脈に血流が不足して、冷感や皮膚の色が変化するレイノー現象などを伴います。 病状は慢性化し、一進一退を続けながら、重症の場合は死に至ることもあります。現在でも正確な原因の解明はされておらず、治療法などもみつけられていない難病です。 膠原病の一種として考えられている病気です。全身の臓器に原因不明の炎症がおこり、その独特の形から蝶形紅斑と呼ばれる頬から鼻にかけての紅斑や、全身にじんましん、紫斑、皮膚腫瘍などが現れます。 発生頻度は圧倒的に女性に多く、男女比は1:10程度。日本には約5~7万人くらいの患者がいます。また若年層に頻発し、20歳~30歳代の出産可能な若い年代での発症が多いことから、女性ホルモンとのかかわりがあると考えられています。 発症の原因はウイルス感染のほか、日光に当たること、外科手術、妊娠、ストレスなどです。
ものを見るメカニズム
人間がものを見るしくみは、カメラを想像すると理解しやすいかもしれません。 カメラは、レンズを通過した光が屈折し、この屈折した光が画像素子(フイルム)上に集まって、被写体を映し出します。 人の眼には「黒目」と呼ばれる角膜があります。角膜は肉眼では黒く見えますが、下の虹彩が透けて見えているだけで、実は透明な組織です。 この角膜と、角膜の後ろにある水晶体という透明な組織は、カメラでいうところのレンズの役割を果しています。 角膜と水晶体を通過した光(視覚情報)は屈折し、さらに硝子体という透明な組織を通り、網膜に象を結びます。 網膜は画像素子(フイルム)のような役割を果たす組織です。 網膜に光が達すると明暗・形・色が感知され、その情報が視神経を経由して脳に伝わります。そして、私たちは"見る"という行為を通じて、外界を認識するわけです。 屈折率(屈折の角度)が正常ならば、光は網膜でピントが合って、ぴったりと像を結びます。これを「正視」といいます。しかし、屈折率が強すぎたり、弱すぎたりすると、網膜の手前や後方で像を結ぶため、ピントが合いません。このような「正視」以外の屈折状態が「屈折異常」いいます。 屈折異常には、「近視」「遠視」「乱視」があります。 近視の多くは、眼球が前後に長くなる「眼軸長」や、光の屈折力が強すぎることによっておこります。網膜の手前でピントが合うため、近くのものはよく見えますが、遠くのものがぼやけてしまいます。 遠視は近視とは逆に、眼球の眼軸が前後に短くなることや、光の屈折力が弱すぎるためにおこります。網膜より後方でピントが合うため、遠いものも、近いものも、はっきり見えにくくなります。 乱視は眼球の表面にゆがみがあり、光が屈折するときにいろいろな方向に行ってしまうためにおこります。目に入ってきた光が、一点で像を結ばないので網膜上にはっきりとした像ができません。軽度ではあまり自覚症状がありませんが、ひどくなると、遠くのものも近くのものもぼやけて見え、片目で見るとものが2重、3重にずれて見えることもあります。 網膜には色を識別する細胞である「錐体」と、光の明暗を感知する「杆体」があります。 錐体の細胞は、赤、青、緑を感じる3種類あり、この細胞が感知する光の割合によって視神経から大脳への信号が送られます。 この情報を元に大脳で色が認識されますが、錐体の機能に異常がある場合、色覚異常といって、色を正しく識別できない状態になることがあります。