出典:青空文庫
・・・あるいは却って古代の宗教画などに見られて近代のアカデミー風の画には薬にしたくもないところである。ルーベンスやゲーンスボローやないしはアルマタデマに無くしてセザンヌ、ゴーホあるいはセガンチニなどに存するところのものである。 津田君の日本画・・・ 寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
・・・容貌も醜くないルーベンス型に属していた。挙動は敏活でなくてむしろ鈍重なほうであったが、それでいて仕事はなんでも早く進行した。頭がいいからむだな事に時を費やさないのである。そうして骨身を惜しむ事を知らないし、油を売る事をしらなかったせいであろ・・・ 寺田寅彦 「備忘録」
・・・並びに「気象輪講」ルーベンスの「物理輪講」アドルフ・シュミットの「海洋学」「地球のエネルギーハウスハルト」「地球物理輪講」キービッツの「空中電気」ワールブルヒの「理論物理学特別講義」ペンクの「地理学輪講」という御膳立にきめた。 ヘルマン・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・クラシカルな、ルーベンスなどに非常に能く似たような絵も描いている。仏蘭西派であるが、あれを公平に考えて見ると、彼の人は何処に特色があるだろう。他人の絵を描いている。自分というものが何処にもないようですね。巧い拙いにかかわらず、他人の描いたよ・・・ 夏目漱石 「模倣と独立」
・・・同時にその市場を運営していたアムステルダムの市民は、ルーベンス、レンブラントの芸術を生む母胎ともなった。ハンザ同盟に加っていたヨーロッパのいくつかの自由都市は、それぞれのわが市から出発して商業の上で世界を一まわりしていたばかりでなく、当時の・・・ 宮本百合子 「木の芽だち」