こい‐の‐けぶり【恋の煙】
恋いこがれる心を、煙が立ちのぼるようすにたとえていう語。「かがり火に立ちそふ—こそ世には絶えせぬ災なりけれ」〈源・篝火〉
恋(こい)の鞘当(さやあ)て
《遊里で一人の遊女をめぐって二人の武士が鞘当てをする歌舞伎の題材から》恋がたきどうしが争うこと。また、その争い。
こい‐の‐せきもり【恋の関守】
恋を妨げる者のたとえ。「誰(た)がうきゆゑぞ—」〈菟玖波集・恋上〉
こい‐の‐たきのぼり【鯉の滝登り】
1 鯉が滝をのぼること。また、勢いのよいことのたとえ。 2 《黄河の上流にある滝、竜門を登ることのできた鯉は竜になるという「後漢書」党錮伝の故事から》立身出世することのたとえ。
こい‐の‐つま【恋の端】
恋のきっかけ。「今は何につけてか心をも乱らまし。似げなき—なりや」〈源・真木柱〉
こいのなりゆき【恋の成り行き】
フラゴナールの絵画。「追跡」「逢引」「愛の戴冠」「恋文」の総称。若い男女の恋模様を描いた連作であり、ロココ美術を代表する雅宴画として知られる。
こい‐のぼり【鯉幟】
布または紙で、鯉の形に作ったのぼり。端午の節句に戸外に立てる。鯉の滝のぼりにちなんだもの。鯉の吹き流し。五月幟(さつきのぼり)。《季 夏》「煙あげて塩屋は低し—/久女」
こい‐の・む【乞ひ祈む】
[動マ四]神仏に願い祈る。祈願する。「天地(あめつち)の神祇(かみ)を—・み」〈万・四四三〉
こい‐の‐やっこ【恋の奴】
恋に支配されている身を、人に使われる奴(やっこ)にたとえていう語。恋のとりこ。恋の奴隷。「徒(いたづ)らに、—になり果てて」〈謡・恋重荷〉
こい‐の‐やつこ【恋の奴】
《思いのままにならない恋を擬人化して》恋というやつ。恋のやつめ。「家にある櫃(ひつ)に鏁(かぎ)さし蔵(をさ)めてし—がつかみかかりて」〈万・三八一六〉