なごり‐の‐そで【名残の袖】
別れの心残りを惜しむことのたとえ。なごりのたもと。「さらばよ友人、—を招く尾花のほのかに見えし跡絶えて」〈謡・松虫〉
なごり‐の‐たもと【名残の袂】
「名残の袖(そで)」に同じ。「泣いて尽きせぬ—見捨てて抱(かか)へを手繰り寄せ」〈浄・天の網島〉
なごり‐の‐ちゃ【名残の茶】
茶の湯で、残り少なくなった前年の古茶の名残を惜しんで、陰暦8月末日から9月にかけて催す茶会。今は、風炉から炉に移る10月中旬より下旬にかけて催す。名残の茶事。
なごり‐の‐ちゃじ【名残の茶事】
「名残の茶」に同じ。
なごり‐の‐つき【名残の月】
1 夜明け方の空に残る月。有り明けの月。残月。 2 《その年の最後の観月となるところから》陰暦九月十三夜の月。十三夜。後の月。《季 秋》
なごり‐の‐なみだ【名残の涙】
名残を惜しんで流す涙。別れの涙。「息をとぢたる眼(まなこ)にも—せきあへず」〈浄・用明天王〉
なごり‐の‐はな【名残の花】
1 散り残っている花。残花。多く桜をいう。 2 連句で、名残の折の裏に詠む花。歌仙では名残の裏の5句目に花の句を詠み込む。
なごり‐の‐ゆき【名残の雪】
1 春が来ても消え残っている雪。 2 春が来てから降る雪。《季 春》
なごりび【名残り火】
藤原伊織によるハードボイルド小説。平成19年(2007)、著者の没後に刊行された最後の長編。平成11年(1999)刊行の「てのひらの闇」の続編にあたる。
名残(なごり)を惜(お)し・む
別れがつらく、惜しいと思う。「旅立つ友と—・む」「行く春の—・む」