よ‐の【世の】
[連語]《天下周知の、の意から、程度のはなはだしいさまを表す》たいへんな。この上ない。「—痴(し)れ者かな」〈徒然・四一〉
よ‐の‐おぼえ【世の覚え】
世間の評判。世の中の信用。「—がめでたい」
よ‐の‐おもし【世の重し】
「世の固め」に同じ。「—とものし給へる大臣の」〈源・賢木〉
よ‐の‐かぎり【世の限り】
1 命のあるかぎり。死ぬまで。一生涯。「立ちしなふ君が姿を忘れずは—にや恋ひ渡りなむ」〈万・四四四一〉 2 この世の終わり。臨終。「独りの母親こがれて、—と知らせて」〈浮・男色大鑑・六〉
よ‐の‐かため【世の固め】
世の中をしっかりと治めること。また、その地位・人。「つひには—となるべき人なれば」〈源・若菜上〉
よ‐の‐きこえ【世の聞こえ】
世間の評判やうわさ。「—をはばかる」「二条の后(きさき)に忍びて参りけるを、—ありければ」〈伊勢・五〉
よ‐の‐ことごと【世の悉/世の尽】
命あるかぎり。世のかぎり。「妹(いも)は忘れじ—に」〈記・上・歌謡〉
よ‐の‐さが【世の性】
世の常のこと。世間のならい。「おくれ先だつほどの定めなさは—と見給へ知りながら」〈源・葵〉
よ‐の‐たとい【世の譬ひ】
世間で言いならわしているたとえ。世間での言いぐさ。「もて離れてうとうとしく侍れば、—にてむつび侍らず」〈源・帚木〉
よ‐の‐ためし【世の例】
1 世の習い。世の常。「会えば必ず別れのあるのが—だ」 2 世間に語り継がれている事柄。また語り継がれるであろう事柄。「—にもなりぬべき御もてなしなり」〈源・桐壺〉