こけ‐の‐ころも【苔の衣】
1 地を覆う苔を衣にたとえていう語。こけごろも。「白露の朝(あした)夕べにおく山の—は風もさはらず」〈新古今・雑中〉 2 僧・隠者などの着る粗末な衣服。こけごろも。こけのたもと。こけのきぬ。「男...
ここ‐なる【此処なる】
[連語]《代名詞「ここ」+断定の助動詞「なり」の連体形》 1 ここにある。身近にある。手もとの。「—物取り侍らむ」〈枕・三〉 2 ここにいる。ここに住んでいる。この家の。「—男ども中門おしひらき...
ここの‐え【九重】
1 物が九つ、または、いくつも重なっていること。また、その重なり。「—に霞隔てば」〈源・真木柱〉 2 《昔、中国の王城は門を九重につくったところから》宮中。禁中。「みづからは—の内に生ひ出で侍り...
ここば‐く【幾許く】
[副]「ここば」に同じ。「ちかげも—もとめさせ侍るに」〈宇津保・忠こそ〉
ここ‐もと【此処許/爰許】
[代]近称の指示代名詞。 1 話し手の身近な所をいう。このあたり。ここ。「波ただ—に立ち来る心地して」〈源・須磨〉 2 話し手自身の方をいう。自分の方。当方。「—にただ一言聞こえさすべきことなむ...
こころ‐かしこ・し【心賢し】
[形ク]利口であるさま。賢明である。気がきく。「—・き関守侍りと聞こゆ」〈枕・一三六〉
こころ‐かろ・し【心軽し】
[形ク]「こころかるし」に同じ。「—・くもなど覚(おぼ)し物せむに、いとあしく侍りなむ」〈源・宿木〉
こころ‐と【心と】
[副]自分の心から。自分の心の持ちようから。「—老いつき、やつして病み侍りにし」〈紫式部日記〉
こころ‐と・し【心疾し】
[形ク] 1 感覚や知能の働きが鋭くてすばやい。機敏である。「いとあさましくなむ侍ると申すに、君も—・く心得給ひて」〈堤・思はぬ方にとまりする少将〉 2 気ぜわしい。気が早い。せっかちである。「...
心(こころ)留(と)ま・る
1 ある物に強く心が引かれる。気に入る。「山水に—・り侍りぬれど」〈源・若紫〉 2 あきらめきれなくなる。未練が残る。「—・ることなくて、極楽にも心清く参り侍るべき」〈栄花・鶴の林〉