あらたえ‐の【荒妙の】
[枕]藤を「あらたえ」の材料とするところから、「藤」にかかる。「—藤原が上に食(を)す国を」〈万・五〇〉
あら‐たま【粗玉/新玉/荒玉/璞】
1 掘り出したままで、まだ磨いていない玉。 2 その真価や完成された姿をまだ発揮していないが、素質のある人。「爺いさんの記憶にあるお玉の姿は、まだ—の儘(まま)であった」〈鴎外・雁〉 3 (新玉...
あらたま‐の【新玉の/荒玉の】
[枕]「年」「月」「春」「来経(きへ)」などにかかる。かかり方未詳。一説に、年月の改まる意からとも。「—年は果つれど」〈万・二四一〇〉 「—来経往(きへゆ)く年の」〈万・八八一〉
あらち‐やま【愛発山/有乳山/荒血山】
福井県敦賀市の南部の山塊。奈良時代、愛発関(あらちのせき)があった。[歌枕]「八田の野の浅茅色づく—峰の沫雪寒く降るらし」〈万・二三三一〉
あら‐みさき【荒御鋒/荒御裂き】
1 軍の先頭に立つという勇猛な神。 2 男女の仲を裂くというやきもち焼きの女神。あらみかげ。あらみさきひめ。「—とは、人の中をさくる神を云ふ」〈能因歌枕〉
あられ‐ふり【霰降り】
[枕]あられの降る音がかしましい意、また、その音を「きしきし」「とほとほ」と聞くところから、地名の「鹿島(かしま)」「杵島(きしみ)」「遠江(とほつあふみ)」にかかる。「—鹿島の崎を波高み」〈万...
あられ‐まつばら【霰松原/安良礼松原】
大阪市住之江区安立(あんりゅう)付近にあった松原。「あらら松原」の変化したものか。[歌枕]「霰打つ—住吉(すみのえ)の弟日娘(おとひをとめ)と見れど飽かぬかも」〈万・六五〉
あり‐がた・い【有(り)難い】
[形][文]ありがた・し[ク]《あることがむずかしい、の意から》 1 人の好意などに対して、めったにないことと感謝するさま。「—・い助言」「—・く頂戴する」 2 都合よく事が進んでうれしく思うさ...
ありき【歩き】
《動詞「あり(歩)く」の連用形から》あちこち動きまわること。出歩くこと。外出。「一の人の御—」〈枕・八八〉
あり・く【歩く】
[動カ四] 1 あちこち歩きまわる。出歩く。「月のいとあかきに—・きて」〈枕・二七三〉 2 車や舟などであちこちをまわる。「舟に乗りて海ごとに—・き給ふに」〈竹取〉 3 動詞の連用形に付いて用い...