かち‐じ【徒路/歩路】
歩いて行く旅。「—もまたおそろしかなれど」〈枕・三〇六〉
かち‐だち【徒立ち/歩立ち】
1 騎馬でなく、徒歩であること。「馬をも射させ、—になり」〈平家・七〉 2 歩兵の戦い。かちいくさ。また、その兵。「鎮西の育ちなれば、—はよかるらん」〈保元・中〉
かち‐どうしん【徒同心/徒士同心】
平時は雑役に従事し、戦時には歩卒となって合戦に参加した下級武士。足軽(あしがる)。
かち‐に【徒荷】
人足が歩いて運ぶ荷物。「大坂から—でとりよせますさかひ」〈滑・膝栗毛・七〉
かち‐はしり【徒走り/歩走り】
1 乗り物を用いずに、足で走ること。「—の苦しかりしをのみなむ」〈宇津保・国譲下〉 2 徒歩でついてゆく下級の兵士。走り衆。「はかばかしき—の一人をだにも具せざりけり」〈保元・中〉
かち‐はだし【徒跣】
履物をはかないで地面を歩くこと。はだし。「ズボンを膝の上までたくし上げ、靴をぶら提げて—になっていたが」〈谷崎・細雪〉
かち‐びと【徒人/歩人】
徒歩の人。歩いて行く人。かちんど。「この内に入り満ちたる、車、—、数知らず多かり」〈栄花・御裳着〉
かち‐むしゃ【徒武者】
馬に乗らない、徒歩の兵士。雑兵。「—の侍(さぶらひ)二三十人」〈愚管抄・五〉
かち‐ゆみ【歩射/徒弓】
徒歩で弓を射ること。また、その弓。歩射(ぶしゃ)。→騎射(うまゆみ)「—のすぐれたる上手どもありければ」〈源・若菜下〉
かち‐より【徒より】
[連語]《「より」は動作の手段を表す格助詞》徒歩で。歩いて。「他夫(ひとづま)の馬より行くに己夫(おのづま)し—行けば」〈万・三三一四〉