さ【然】
[副]すでにある事物・状態などをうけて、それを指示する語。そのように。そう。「これのみは余りに深く我心に彫りつけられたれば—はあらじと思えど」〈鴎外・舞姫〉 「おまへたちも、必ず—思(おぼ)すゆ...
さ‐あらぬ【然有らぬ】
[連語](多く「体(てい)」「顔」「ようす」などの名詞を伴って用いる)なにげない。なにくわぬ。さらぬ。「—体(てい)であいさつする」
然(さ)有(あ)・り
そうである。そのとおりだ。「人が笠をさすならば我も笠をささうよ、げにも—・り」〈虎明狂・末広がり〉
さ‐かし【然かし】
[連語]《副詞「さ」+終助詞「かし」》相手の話に同意をする語。なるほどそのとおりだ。「—、例は忌み給ふ方なりけり」〈源・帚木〉
さ‐こそ【然こそ】
[副] 1 (あとに推量を表す語を伴って)そのことが十分に推察できるさま。さぞや。さぞかし。「遺族の気持ちは—と察せられる」 2 そのように。「—大人びさせ給へど、いときなき御齢(よはひ)におは...
然(さ)こそ言(い)え
そうはいうものの。とはいえ。「この女をほかへ追ひやらむとす。—、まだ追ひやらず」〈伊勢・四〇〉
さ‐さ【然然】
[副]《副詞「さ」を重ねた語》しかじか。具体的な叙述を省略するときに用いる。「—の所よりなりけりと聞き給ひて」〈かげろふ・中〉
さし‐た
[連体]《「さしたる」の音変化。下に打消しの語を伴って用いる》取り立てていうほどの。これという。「—目的もなく参加した」 [補説]「然した」とも書く。
さ‐しったり【然知ったり】
[感]《副詞「さ」+動詞「し(知)る」の連用形+完了の助動詞「たり」から》 1 事態の変化を予測して待ち構えていたときに言う語。それきた。よしきた。心得た。「源太めがけて切りつくる。—と引っぱづ...
さし‐て
[副]《動詞「さ(指)す」の連用形+接続助詞「て」から》 1 (あとに打消しの語を伴って用いる)とりたてていうほど。それほど。たいして。「これは—重要ではない」「—遜色(そんしょく)はない」 2...