あっち‐もの【彼方者】
1 外国人。「日本の地を離れて、—とぞなりけり」〈浮・色三味線・五〉 2 あの世の者。死者。また、死ぬと決まった者。「孫めが親と一緒に、—になりをらうかと悲しさに」〈浄・盛衰記〉
あ‐な‐た【彼方】
[代] 1 遠称の指示代名詞。 ㋐離れた場所・方向などをさす。向こう。あちら。「山の—の空遠く」〈上田敏訳・海潮音・山のあなた〉 「北の障子の—に人の気配するを」〈源・帚木〉 ㋑以前。昔。「昨日...
あなた‐おもて【彼方面】
あちら側。向こう側。「飽かずして月の隠るる山もとは—ぞ恋ひしかりける」〈古今・雑上〉
あなた‐がた【彼方方】
[名]あちらのほう。向こう側。「宮の辺(へん)(=オソバノ人々)には、ただ—に言ひなして」〈枕・一四三〉 [代]三人称の人代名詞。あのかたたち。「—の旅宿を尋ね、ひたすらお頼み申し上げました...
あなた‐こなた【彼方此方】
[代]指示代名詞。あちらこちら。あれこれ。「君の御身には、かの一節の別れより、—もの思ひとて」〈源・若菜下〉
あなた‐ざま【彼方様】
「彼方方(あなたがた)」に同じ。「—の御仲らひには(加ワレズニ)さし放たれ給ひにければ」〈源・橋姫〉
あなた‐まかせ【彼方任せ】
1 他人の意のままにすること。 2 阿弥陀仏の力に任せること。→他力本願1
おち【遠/彼方】
1 遠い所。遠方。「川より—にいと広くおもしろくてあるに」〈源・椎本〉 2 現在から隔たった時。 ㋐以前。昔。「昨日より—をば知らずももとせの春の始めは今日にぞありける」〈拾遺・雑賀〉 ㋑以後。...
おと【遠/彼方】
「おち(遠)」の音変化。「大宮の—つ端手(はたで)」〈記・下〉 [補説]現代語の「おととし(一昨年)」「おととい(一昨日)」の「おと」もこの語にもとづき、時間的に遠いことの意を表す。
か‐な‐た【彼方】
[代]遠称の指示代名詞。 1 話し手・聞き手の双方から離れた場所・方向をさす。また、現在から遠く離れた過去・未来を示す。あちら。あっち。「—の山」「忘却の—」 2 ある物に隔てられて見えない場所...