出典:青空文庫
・・・ ソヴェトの劇団を揺すぶりかえした有名なゴーゴリの「検察官」の全然新しい演出。失敗に終った「知慧の悲しみ」の同じような試み。ただ物ずきでメイエルホリドはそれ等をやったのではなかった。十九世紀の「検察官」の記念碑的内容を、ソヴェトの音で、・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 一八四二年にゴーゴリが死んだ。その時、ツルゲーネフは極めて自然の感情の発露によってゴーゴリの功績を讚えた哀悼文を書き、それをモスクワの或る新聞へよせた。すると、日頃ツルゲーネフに目をつけていた官憲はその文章が不穏であるという咎で、ツル・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・かっちゃんこと良子嬢のお守代として五十円ずつ出したということの内にあらわれている下様の者とは違ったものの考えかたが、自らその家族写真を見た時も心に甦り、私はゴーゴリの小説の一頁が、生きてそこに立ち現れて来ているように感じたのであった。 ・・・ 宮本百合子 「花のたより」
・・・このような文学の力づよいディフォーメイションは、その文学の源泉としてそれらの作家たちの内部に極めて手強く強靭な人生への健全な観察と判断とを前提している。ゴーゴリやドーミエの諷刺を思い合わせる迄もないことであると思う。そのような文学のディフォ・・・ 宮本百合子 「文学のディフォーメイションに就て」