出典:青空文庫
・・・「この紋章を刻んだ人はジョン・ダッドレーです」あたかもジョンは自分の兄弟のごとき語調である。「ジョンには四人の兄弟があって、その兄弟が、熊と獅子の周囲に刻みつけられてある草花でちゃんと分ります」見るとなるほど四通りの花だか葉だかが油絵の枠の・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・「まるでジョン・ヒルガードそっくりだ。」「ジョン・ヒルガードって何です。」私は訊ねました。「喜劇役者ですよ。ニュウヨーク座の。けれどもヒルガードには眉間にあんな傷痕がありません。」「なるほど。」 そのあとはもう異教徒席も・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・ショウの「セント・ジョン」でジャンヌ・ダークを演じたりして好評をえている。 エリカ・マンには、女性にめずらしい特長があり、疲れを知らない行動力、強靭な運動神経がある。ヘンリー・フォードが催したヨーロッパ早まわり競争に参加して、十日間に六・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・アイルランド生れの物理学者であったジョン・チンダルは地質学者ではなかったが、数十年をへた今日でも、このアルプスを愛し氷河に興味をもった物理学者の観察の記述は精細さで比類すくないものとされている。面白さ、科学性と人間性の清潔な美しさにおいても・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・の作者、「ジョン・ファリファックス」の作者、「小公子」の作者。これらの人々はいずれも婦人であり、母であり、これらの古典的物語は、先ずその子供たちをききてとして書きすすめられたものであった。セルマ・ラゲルレーフは、彼女の児童のための文学によっ・・・ 宮本百合子 「子供のために書く母たち」
・・・ 群像を仕上げたスーは、ついに息子のジョン、娘のマーシャ、忠実な召使いのジェーンをつれてパリへ赴いた。一年分の金がある。その一年に、次の一年分を働き出さなければならない。スーザンは或るフランス人の仕事場に通って種々の専門技術を身につけた・・・ 宮本百合子 「『この心の誇り』」
・・・の作者、ロード・ダンサニー其他、H. G. Wells, John Galsworthy, Kipling, Anatole France, Maurice Maeterlinck. 等と云う作者は、皆、英国、仏蘭西、白耳義の人々である。・・・ 宮本百合子 「最近悦ばれているものから」
・・・のスモーリヌイの廊下を、こうジョン・リードが書いている。 今、日本女は、同じ廊下で壁新聞をよんでいた。 ずっといい天気つづきだ。廊下のはずれのあいた戸から、しずかな川が見えた。ネ河の支流だ。スモーリヌイの裏を流れている。我々・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
ジョン・ハーシーの「ヒロシマ」と「アダノの鐘」は、日本の読者にもひろくよまれた。そして、ハーシーの作品ににじんでいる人間性に感銘されたという読後感が一致した。「ヒロシマ」は全く記録としてかかれていて「ヒロシマ」をドキュメン・・・ 宮本百合子 「「ヒロシマ」と「アダノの鐘」について」
・・・この本をナイチンゲールから寄贈されたジョン・ステュアート・ミルが、この本を手にした労働者と同様に、彼女の理屈はよく納得されないといった時、四十歳に達していたフロレンスはさも意外な面持であった。 社会における「悪の起源」は神が完全であるか・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」