出典:青空文庫
・・・ ハドソンは、いっているが、動物が、人間の用となるためには、どれ程多くの美と天性とを犠牲にしているか知れないと。この言葉は、特に、牛や、馬や、犬や、猫等の如きおとなしい動物について、いえるのであります。 この点、私は、自分の記憶に徴・・・ 小川未明 「天を怖れよ」
・・・思うに紐育市ハドソン河畔の公園に似て非なるが如きものが、ここに経営せられるのではなかろうか。とにかく隅田川両岸の光景は遠からずして全く一変し、徃昔の風致は遂に前代の絵画文学について見るの外全く想像しがたきものとなってしまうのである。 隅・・・ 永井荷風 「向嶋」
・・・盛夏の一夕われハドソン河上の緑蔭を歩みし時驟雨を渡頭の船に避けしことあり。 漢土には白雨を詠じたる詩にして人口に膾炙するもの東坡が望湖楼酔書を始め唐韓かんあくが夏夜雨、清呉錫麒が澄懐園消夏襍詩なぞその類尠からず。彼我風土の光景互に相似た・・・ 永井荷風 「夕立」
・・・もなかなか豊かな動物と人間の絵巻をひろげている。ハドソンの「ラプラタの博物学者」は、野生鳥類の生彩に溢れた観察、記述で感銘ふかいものである。「日本の鳥」は中西悟堂氏によって、どのような日本独特の鳥とそれに対する心を描いているのだろうか。・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・ 先生は、ハドソン川から紐育へ入る途中の――島に炬火を捧げて虚空に立って居る自由の女神像を御存じでございます。 又、コロンビアの大図書館の石階を登りつめた中央に、端然と坐して、数千の学徒を観下す、Alma Mater をも御存じでご・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・のような本はないというのはどういうわけなのだろう。ハドソンが書いた「ラプラタの博物学者」のような観察の本がないのは何故だろうか? シートンの「動物記」は、熊や鹿やその他の生きものの何ともいえない面白さから、その面白さにつれて我知らずその・・・ 宮本百合子 「シートンの「動物記」」