出典:青空文庫
・・・まだしもオー・ヘンリーやカミの方が才能があるが、しかし、オー・ヘンリーやカミといえども二流、三流である。私はうぬぼれかも知れないが、オー・ヘンリーやカミやマーク・トゥエーンよりはましな小説が書けると思っている。 私がマーク・トゥエーンに・・・ 織田作之助 「中毒」
・・・その後 Terling Place の荘園を買った。その邸宅はもとノリッチ僧正の宮殿であった。その後ヘンリー八世の所有となったこともあった。その時の当主ジョン・ストラットは Maldon からの M. P. として選出された。この人の長子は・・・ 寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
・・・私はせんだって中デフォーの作物を批評する必要があって、その作物を読直すときに偶然この句に出合いまして、ふと沙翁のヘンリー四世中の語を思い出して、その内容の同じきにも関らず、その感じに大変な相違のあるに驚きましたが、なぜこんな相違があるかに至・・・ 夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
・・・その時譲りを受けたるヘンリーは起って十字を額と胸に画して云う「父と子と聖霊の名によって、我れヘンリーはこの大英国の王冠と御代とを、わが正しき血、恵みある神、親愛なる友の援を藉りて襲ぎ受く」と。さて先王の運命は何人も知る者がなかった。その死骸・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・ エリカ・マンには、女性にめずらしい特長があり、疲れを知らない行動力、強靭な運動神経がある。ヘンリー・フォードが催したヨーロッパ早まわり競争に参加して、十日間に六千マイルを突破して一等になり、フォードより自動車を一台おくられたことがある・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ この年の末、次男ヘンリーが死んだ。二年後に三女のフランチスカが亡くなった。その棺を買う二ポンドの金さえもフランスの亡命者から借りなければならなかった。「その金で小さな棺を買いその棺の中でいま私の可哀想な子がまどろんでいます。この子・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
時代 中古、A.D. 十一世紀頃――A.D. 1077―A.D. 1095 人物 グレゴリオ七世 ローマ法王 ヘンリー四世 ドイツ帝 老人 ヘンリー四世の守役を勤めた人九十・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・ この間或る雑誌を見ていたらD・マクドナルドが、現代アメリカの最大なジャーナリストの一人であるヘンリー・ロビンソン・ルースの事業と性格、社会的行動の分析をしていた。 周知のとおり通俗ニュース雑誌、『ライフ』『タイム』『フォーチューン・・・ 宮本百合子 「微妙な人間的交錯」
・・・ポルトガルの航海者ヘンリーはすでに乱の始まる七年前に没していたが、しかしアフリカ回航はまだ発展していなかった。だからヨーロッパもまだそんなに先の方に進んで行っていたわけではない。むしろこれから後の一世紀の進歩が目ざましいのである。シャビエル・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」