出典:青空文庫
・・・『倫理学における形式主義の実質的価値倫理学』の著者であるマックス・シェーラーは初めオイケンに師事したが、フッサールの影響を受けて、現象学派の立場に移った。 彼はいう。価値は主観から独立な真の対象であって、価値現象として主観の感情状態や、・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・それはオイケンと云って、近頃独逸で、有名な学者の著わしたものであります。もっともたくさんの著述のうちでごく短かい一冊を読んだだけでありますが、とにかくその人の説の中にこういう事が書いてありました。現代の人はしきりに自由とか開放とかいうような・・・ 夏目漱石 「中味と形式」
・・・近頃流行るベルグソンでもオイケンでもみんな向うの人がとやかくいうので日本人もその尻馬に乗って騒ぐのです。ましてその頃は西洋人のいう事だと云えば何でもかでも盲従して威張ったものです。だからむやみに片仮名を並べて人に吹聴して得意がった男が比々皆・・・ 夏目漱石 「私の個人主義」
黄銅時代の為○オイケンの偉人と人生観より、p.9「精神の領分に於ては、個々の部分の総和其ものが決して全体を生じないと云う点に一致して居る」 此は、二人の人間の精神的産物は、二つの傾向の中間であると云う・・・ 宮本百合子 「結婚に関し、レークジョージ、雑」
・・・どうだい、オイケンの翻訳と、どっちがおもしろいかい、と云って。それから、いまでもやっぱり目黒の秋刀魚かい、と云いはしなかったろうか。これは学習院の学生達のみち足りた境遇では、知識欲も、珍しさの味――落語にある「目黒の秋刀魚」に類するものか、・・・ 宮本百合子 「日本の青春」