出典:青空文庫
・・・「要請というのは哲学で云えばカントの実践理性の要請という特別の言葉であって」云々と。粗暴な狼たちは、このアキレス腱めがけて、菅氏にとびかかり、かんでかんで、遂に彼の勇気を、かみちぎってしまいました。 不幸な菅氏は、その良心と正義感と・・・ 宮本百合子 「若き僚友に」
・・・こう云う風に本当を二つに見ることは、カントが元祖で、近頃プラグマチスムなんぞで、余程卑俗にして繰り返しているのも同じ事だ。これだけの事は一寸云って置かなくては、話が出来ないのだがね。」「宜しい。詞はどうでも好い。その位な事は僕にも分かっ・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・神農もソクラテスもカントもランスロットもエレーンも乃至はお染久松もこの問題に触れた。釈尊やイエスはこれを解いて、多くの精霊を救う。この救われたる衆生が真の人生を現わしたか。救われずして地獄の九圏の中に阿鼻叫喚しているはずの、たとえば歴山大王・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」