せん‐とう【戦闘】例文一覧 30件

  1. ・・・……が、僕はもう一度戦闘的精神を呼び起し、ウイスキイの酔いを感じたまま、前のホテルへ帰ることにした。 僕は又机に向い、「メリメエの書簡集」を読みつづけた。それは又いつの間にか僕に生活力を与えていた。しかし僕は晩年のメリメエの新教徒になっ・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  2.      1 鼠 一等戦闘艦××の横須賀軍港へはいったのは六月にはいったばかりだった。軍港を囲んだ山々はどれも皆雨のために煙っていた。元来軍艦は碇泊したが最後、鼠の殖えなかったと云うためしはない。――××もまた同じこ・・・<芥川竜之介「三つの窓」青空文庫>
  3. ・・・平和は根柢から破れて、戦闘は開始したのだ。もはや恐怖も遅疑も無い。進むべきところに進む外、何を顧みる余地も無くなった。家族には近い知人の二階屋に避難すべきを命じ置き、自分は若い者三人を叱して乳牛の避難にかかった。かねてここと見定めて置いた高・・・<伊藤左千夫「水害雑録」青空文庫>
  4. ・・・今日のような思想上の戦国時代に在っては文人は常に社会に対する戦闘者でなければならぬが、内輪同士では年寄の愚痴のような繰言を陳べてるが、外に対しては頭から戦意が無く沈黙しておる。 二十五年の歳月が聊かなりとも文人の社会的位置を進めたのは時・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  5. ・・・北海に浜する国にとりては敵国の艦隊よりも恐るべき砂丘は、戦闘艦ならずして緑の樅の林をもって、ここにみごとに撃退されたのであります。 霜は消え砂は去り、その上に第三に洪水の害は除かれたのであります。これいずこの国においても植林の結果として・・・<内村鑑三「デンマルク国の話」青空文庫>
  6. ・・・新しい芸術上の運動も、そのはじめは、同志の綜合であり、同人雑誌を戦闘の機関としなかったものはなかったからです。 東京堂月報に拠ると昭和八年上半期の新刊書数は、実に二千四百余種に達しています。これに後半期を入れて一ヶ年にしたら、夥しき・・・<小川未明「書を愛して書を持たず」青空文庫>
  7. ・・・したが、その中でおれのように志願で行くものは四五人とあるかなし、大抵は皆成ろう事なら家に寝ていたい連中であるけれど、それでも善くしたもので、所謂決死連の己達と同じように従軍して、山を超え川を踰え、いざ戦闘となっても負けずに能く戦う――いや更・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
  8. ・・・ 犬と人間との入り乱れた真剣な戦闘がしばらくつゞいた。銃声は、日本の兵士が持つ銃のとゞろきばかりでなく、もっとちがった別の銃声も、複雑にまじって断続した。 危く、蒙古犬に喰われそうになっていた浜田たちは、嬉しげに、仲間が現れた、その・・・<黒島伝治「前哨」青空文庫>
  9.  ここでは、遠くから戦争を見た場合、或は戦争を上から見下した場合は別とする。 銃をとって、戦闘に参加した一兵卒の立場から戦争のことを書いてみたい。 初めて敵と向いあって、射撃を開始した時には、胸が非常にワク/\する。・・・<黒島伝治「戦争について」青空文庫>
  10. ・・・       五 一時間ばかり戦闘がつづいた。「日本人って奴は、まるで狂犬みたいだ。――手あたり次第にかみつかなくちゃおかないんだ。」ペーチャが云った。「まだポンポン打ちよるぞ!」 ロシア人は、戦争をする意志を失・・・<黒島伝治「橇」青空文庫>
  11. ・・・ 負傷者の傷には、各々、戦闘の片影が残されていた。森をくゞりぬけて奥へパルチザンを追っかけたことがある。列車を顛覆され、おまけに、パルチザンの襲撃を受けて、あわくって逃げだしたこともある。傷は、武器と戦闘の状況によって異るのだ。鉄砂の破・・・<黒島伝治「氷河」青空文庫>
  12. ・・・ 戦闘が開始されたようなものだ。「イヤ腕を磨くべきはもとよりだが、腕で芸術が出来るものではない。芸術は出来るもので、こしらえるものでは無さそうだ。君の方ではこしらえとおせるかも知れないが、僕の方や窯業の方の、火の芸術にたずさわるもの・・・<幸田露伴「鵞鳥」青空文庫>
  13. ・・・そのうちに東京は大空襲の連続という事になりまして、何が何やら、大谷さんが戦闘帽などかぶって舞い込んで来て、勝手に押入れの中からブランデイの瓶なんか持ち出して、ぐいぐい立ったまま飲んで風のように立ち去ったりなんかして、お勘定も何もあったもので・・・<太宰治「ヴィヨンの妻」青空文庫>
  14. ・・・しかし、だんだん考えてみると、相手の身勝手に気がつき、ただこっちばかりが悪いのではないのが確信せられて来るのだが、いちど言い負けたくせに、またしつこく戦闘開始するのも陰惨だし、それに私には言い争いは殴り合いと同じくらいにいつまでも不快な憎し・・・<太宰治「桜桃」青空文庫>
  15. ・・・帝国陸海軍は今八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり。」 しめ切った雨戸のすきまから、まっくらな私の部屋に、光のさし込むように強くあざやかに聞えた。二度、朗々と繰り返した。それを、じっと聞いているうちに、私の人間は変ってしまっ・・・<太宰治「十二月八日」青空文庫>
  16. ・・・盲目、戦闘、狂乱の中にこそより多くの真珠が見つかる。『私、――なんにも、――』そうして、しとやかにお辞儀して、それだけでも、かなりの思い伝え得るのだ。いまの世の人、やさしき一語に飢えて居る。ことにも異性のやさしき一語に。明朗完璧の虚言に、い・・・<太宰治「創生記」青空文庫>
  17. ・・・ 兵隊の尿の中から、回春の霊薬が析出されるそうであるが、映画で勇ましい軍隊の行進や戦闘の光景を見たり、またオリンピック選手やボクサーの活躍を、見たりしているといじけた年寄り気分がどこかへ吹っ飛んでしまってたとえ一時でも若返った気分になる・・・<寺田寅彦「映画と生理」青空文庫>
  18. ・・・ ほとんど腐朽に瀕した肉体を抱えてあれだけの戦闘と事業を遂行した巨人のヴァイタルフォースの竈から迸る火花の一片二片として、こういう些細な事柄もいくらかの意味があるのではないかと思われるのである。         四 子規・・・<寺田寅彦「子規の追憶」青空文庫>
  19. ・・・おそらくは戦闘艦の巨砲の一発の価、陸軍兵員の一日分のたくあんの代金にも足りないくらいの金を使って懸命に研究し、そうして世界的に立派な結果を出しているようである。そうして世間の人はもちろん政府のお役人たちもそれについてはなんにも知らない。・・・<寺田寅彦「時事雑感」青空文庫>
  20. ・・・雨が降って地面が柔らかくなり、ナポレオンが力と頼む砲兵の活動に不便なために戦闘開始を少し延ばしたばかりにブリュヘルが間に合って戦局が一変したと云うのである。これは文学者の誇張であるかもしれないが、こういう例は史上に珍しくはあるまい。同じ筆法・・・<寺田寅彦「戦争と気象学」青空文庫>
  21. ・・・なおはなはだしきは、かの血気の少年軍人の如きは、ひたすら殺伐戦闘をもって快楽となし、つねに世の平安をいとうて騒乱多事を好むが如し。ゆえに平安の主義は、人類のこの一部分に行われて、他の一部分には通用すべからずとの問題あれども、この問題に答うる・・・<福沢諭吉「教育の目的」青空文庫>
  22. ・・・社会の公議輿論、すなわち一世の気風は、よく仏門慈善の智識をして、殺人戦闘の悪業をなさしめたるものなり。右はいずれも、人生の智徳を発達せしめ退歩せしめ、また変化せしむるの原因にして、その力はかえって学校の教育に勝るものなり。学育もとより軽々看・・・<福沢諭吉「徳育如何」青空文庫>
  23. ・・・ それから戦闘艦隊が三十二隻、次々に出発し、その次に大監督の大艦長が厳かに舞いあがりました。 そのときはもうまっ先の烏の大尉は、四へんほど空で螺旋を巻いてしまって雲の鼻っ端まで行って、そこからこんどはまっ直ぐに向うの杜に進むところで・・・<宮沢賢治「烏の北斗七星」青空文庫>
  24. ・・・そして毎日、新聞で見る今日の銃後の女としての服装もエプロン姿から、たとえそれがもんぺいであろうと、作業服式のものであろうと、ひとしくりりしい裾さばきと、短くされたたもととをもって、より戦闘的な型へ進んで来ているのである。 私たち女は一年・・・<宮本百合子「新しい婦人の職場と任務」青空文庫>
  25. ・・・そのうちで、戦闘員だったものは千五百万人、最低その三倍の非戦闘員が、空襲とナチスやファシストの強制収容所、地下の抗戦運動で殺害されている。日本の軍部は、太平洋戦争で百八十五万人を死なせた。全国には百八十万人の未亡人が飢餓線に生きている。千円・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第八巻)」青空文庫>
  26. ・・・そして、外国の新聞はこの戦闘行為の性質を解剖して、その背後の勢力を考えるとこの白沙漠に於ける戦闘はスペインの内乱の如き性質を持つものであると言っている。 今やイタリーにとってアフリカの植民地問題は従来のような人口問題の解決法としての域を・・・<宮本百合子「イタリー芸術に在る一つの問題」青空文庫>
  27. ・・・彼が戦闘的唯物論者らしく部落内の現象の分析綜合をなし得たら、「彼女の古い精神がいかに社会変革をきらっていようとも彼女のからだ――生活はこれを熾烈に要求しているのだ。要求せざるを得なくなっているのだ。」という二元論は成り立たぬであろう。古い伝・・・<宮本百合子「一連の非プロレタリア的作品」青空文庫>
  28. ・・・ナポレオンの爪に猛烈な征服慾があればあるほど、田虫の戦闘力は紫色を呈して強まった。全世界を震撼させたナポレオンの一個の意志は、全力を挙げて、一枚の紙のごとき田虫と共に格闘した。しかし、最後にのた打ちながら征服しなければならなかったものは、ナ・・・<横光利一「ナポレオンと田虫」青空文庫>
  29. ・・・研究所へ着くなり栖方は新しい戦闘機の試験飛行に乗せられ、急直下するその途中で、機の性能計算を命ぜられたことがあった。すると、急にそのとき腹痛が起り、どうしても今日だけは赦して貰いたいと栖方は歎願した。軍では時日を変更することは出来ない。そこ・・・<横光利一「微笑」青空文庫>
  30. ・・・彼らの武器は、彼らのとるべき戦法は、彼らの戦闘の造った文化のために益々巧妙になるであろう。益々複雑になるであろう。益々無数の火花を放って分裂するであろう。かかる世紀の波の上に、終にまた我々の文学も分裂した。 明日の我々の文学は、明らかに・・・<横光利一「黙示のページ」青空文庫>