たび‐だ・つ【旅立つ】例文一覧 7件

  1. ・・・と、考えましたので、ついにその気になって、南に向かって旅立つことにいたしました。 からすは、かもめのように空を高く、また速く飛ぶことはできませんでした。それでも幾日かかかって、にぎやかな都に到着いたしました。「なるほど、にぎやかなき・・・<小川未明「馬を殺したからす」青空文庫>
  2. ・・・ 家の者は、此知らない土地へ旅立つ為、種々仕度を調えました。スバーの心は、まるで靄に包まれた明方のように涙でしめりました。近頃、次第に募って来た、ぼんやりとした恐しさで、彼女は物の云えない獣のように、父や母につきまといました。大きな眼を・・・<著:タゴールラビンドラナート 訳:宮本百合子「唖娘スバー」青空文庫>
  3. ・・・ 宗吾郎が、いよいよ直訴を決意して、雪の日に旅立つ。わが家の格子窓から、子供らが顔を出して、別れを惜しむ。ととさまえのう、と口々に泣いて父を呼ぶ。宗吾郎は、笠で自分の顔を覆うて、渡し舟に乗る。降りしきる雪は、吹雪のようである。 七つ・・・<太宰治「父」青空文庫>
  4. ・・・韋駄天を叱する勢いよく松が端に馳け付くれば旅立つ人見送る人人足船頭ののゝしる声々。車の音。端艇涯をはなるれば水棹のしずく屋根板にはら/\と音する。舷のすれあう音ようやく止んで船は中流に出でたり。水害の名残棒堤にしるく砂利に埋るゝ蘆もあわれな・・・<寺田寅彦「東上記」青空文庫>
  5. ・・・と詠み、雪の頃旅立つ人を送りては、「用心してなだれに逢ふな」と詠めり。楽みては「楽し」と詠み、腹立てては「腹立たし」と詠み、鳥啼けば「鳥啼く」と詠み、螽飛べば「螽飛ぶ」と詠む。これ尋常のことのごとくなれど曙覧以外の歌人には全くなきことなり。・・・<正岡子規「曙覧の歌」青空文庫>
  6. ・・・ロマンチスト達が自らを高く持して、それから一刻も遠のくためには古代ギリシャの美術品の鑑賞へ熱中するばかりか、美を求めて遠くアフリカへまで旅立つことを辞さない間に、バルザックは金儲け、立身出世、瞞し合いのブルジョア社会の現実へ突ささって而もそ・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>
  7. ・・・木村氏はそのおり臼井の邸に向いし一人なりしが、刃にちぬるに至らず、六郎が東京に出でて勤学せんといいしときも、親類のちなみありとて、共に旅立つこととなりぬ。六郎は東京にて山岡鉄舟の塾に入りて、撃剣を学び、木村氏は熊谷の裁判所に出勤したりしに、・・・<森鴎外「みちの記」青空文庫>