ちゃあ例文一覧 30件

  1. ・・・また病気になっちゃあ」自分は妻に声をかけた。「どうかしたのか?」「ええ、お腹が少し悪いようなんです」この子供は長男に比べると、何かに病気をし勝ちだった。それだけに不安も感じれば、反対にまた馴れっこのように等閑にする気味もないではなかった。「・・・<芥川竜之介「子供の病気」青空文庫>
  2. ・・・ ――今夜は外へいらしっちゃあいやよ。 ――きっとよ。よくって。 ――ああ、ああ。  女の声がだんだん微な呻吟になってしまいに聞えなくなる。  沈黙。急に大勢の兵卒が槍を持ってどこからか出て来る。兵卒の声。 ――ここ・・・<芥川竜之介「青年と死」青空文庫>
  3. ・・・丁度、その時、御会席で御膳が出たので、暫くはいろいろな話で賑やかだったが、中洲の大将は、房さんの年をとったのに、よくよく驚いたと見えて、「ああも変るものかね、辻番の老爺のようになっちゃあ、房さんもおしまいだ。」「いつか、あなたがおっ・・・<芥川竜之介「老年」青空文庫>
  4. ・・・弱いことそんなに泣いちゃあ。かあちゃんがおさすりしてあげますからね、泣くんじゃないの。……あの兄さん」 といって僕を見なすったが、僕がしくしくと泣いているのに気がつくと、「まあ兄さんも弱虫ね」 といいながらお母さんも泣き出しなさ・・・<有島武郎「碁石を呑んだ八っちゃん」青空文庫>
  5. ・・・僕はおかあさんを起そうかとちょっと思いましたが、おかあさんが「お前さんお寝ぼけね、ここにちゃあんとあるじゃありませんか」といいながら、わけなく見付けだしでもなさると、少し耻しいと思って、起すのをやめて、かいまきの袖をまくり上げたり、枕の近所・・・<有島武郎「僕の帽子のお話」青空文庫>
  6. ・・・どっちかに極めなくちゃあならないのだ。公民たるこっちとらが社会の安全を謀るか、それとも構わずに打ち遣って置くかだ。」 こんな風な事をもう少ししゃべった。そして物を言うと、胸が軽くなるように感じた。「実に己は義務を果すのだ」と腹の内で・・・<著:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ 訳:森鴎外「罪人」青空文庫>
  7. ・・・下を氷で冷すばかりの容体を、新造が枕頭に取詰めて、このくらいなことで半日でも客を断るということがありますか、死んだ浮舟なんざ、手拭で汗を拭く度に肉が殺げて目に見えて手足が細くなった、それさえ我儘をさしちゃあおきませなんだ、貴女は御全盛のお庇・・・<泉鏡花「葛飾砂子」青空文庫>
  8. ・・・ 看護婦は窮したる微笑を含みて、「お胸を少し切りますので、お動きあそばしちゃあ、危険でございます」「なに、わたしゃ、じっとしている。動きゃあしないから、切っておくれ」 予はそのあまりの無邪気さに、覚えず森寒を禁じ得ざりき。お・・・<泉鏡花「外科室」青空文庫>
  9. ・・・毎日々々行っちゃあ立っていたので、しまいにゃあ見知顔で私の顔を見て頷くようでしたっけ、でもそれじゃあない。 駒鳥はね、丈の高い、籠ん中を下から上へ飛んで、すがって、ひょいと逆に腹を見せて熟柿の落こちるようにぼたりとおりて、餌をつついて、・・・<泉鏡花「化鳥」青空文庫>
  10. ・・・あぶれた手合が欲しそうに見ちゃあ指をくわえるやつでね、そいつばッかりゃ塩を浴びせたって埒明きませぬじゃ、おッぽり出してしまわっせえよ。はい、」 といいかけて、行かむとしたる、山番の爺はわれらが庵を五六町隔てたる山寺の下に、小屋かけてただ・・・<泉鏡花「清心庵」青空文庫>
  11. ・・・もあるこの釜和原まで買いに遣すような酷い叔母様に使われて、そうして釣竿で打たれるなんて目に逢うのだから、辛いことも辛いだろうし口惜しいことも口惜しいだろうが、先日のように逃げ出そうと思ったりなんぞはしちゃあ厭だよ。ほんとに先日の夜だって吃驚・・・<幸田露伴「雁坂越」青空文庫>
  12. ・・・雛妓めが、あなたのお頭顱とかけてお恰好の紅絹と解きますよ、というから、その心はと聞いたら、地が透いて赤く見えますと云って笑い転げたが、そう云われたッて腹も立てないような年になって、こんなことを云い出しちゃあ可笑いが、難儀をした旅行の談と同じ・・・<幸田露伴「太郎坊」青空文庫>
  13. ・・・「ツ、いい虫だっちゃあない、呆れっちまうよ。さあさあお起ッたらお起きナ、起きないと転がし出すよ。と夜具を奪りにかかる女房は、身幹の少し高過ぎると、眼の廻りの薄黒く顔の色一体に冴えぬとは難なれど、面長にて眼鼻立あしからず、粧り立てなば・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  14. ・・・母親以外の親しいものを呼ぶにも、「ちゃあちゃん」としかまだ言い得なかった。こんな幼い子供が袖子の家へ連れられて来てみると、袖子の父さんがいる、二人ある兄さん達もいる、しかし金之助さんはそういう人達までも「ちゃあちゃん」と言って呼ぶわけではな・・・<島崎藤村「伸び支度」青空文庫>
  15. ・・・だけれどあの人はなんにでも鬱金香を付けなくちゃあ気が済まないのだもの。(乙、目を雑誌より放し、嘲弄の色を帯びて相手を見る。甲、両手を上沓に嵌御覧よ。あの人の足はこんなに小さいのよ。そして歩き付きが意気だわ。お前さんまだあの人・・・<著:ストリンドベリアウグスト 訳:森鴎外「一人舞台」青空文庫>
  16. ・・・そうでもなくっちゃあ、――」言うことが大きい。「何しろ名誉の家だからな。」「名誉の家?」「長女の婿は三、四年前に北支で戦死、家族はいま小坂の家に住んでいる筈だ。次女の婿は、これは小坂の養子らしいが、早くから出征していまは南方に活躍中・・・<太宰治「佳日」青空文庫>
  17. ・・・私が十歳の頃、五所川原の叔母の家に遊びに行き、ひとりで町を歩いていたら、「修ッちゃあ!」と大声で呼ばれて、びっくりした。中畑さんが、その辺の呉服屋の奥から叫んだのである。だし抜けだったので、私は、実にびっくりした。中畑さんが、そのような・・・<太宰治「帰去来」青空文庫>
  18. ・・・けいちゃあん。」他のお客とふざけている日本髪の少女を呼んだ。「ウイスキイお二つ。私、今晩酔っぱらうのよ。うれしいことがあるんだもの。ええ、酔っぱらうの。死ぬほど酔っぱらうの。」        七 その夜、私は酔いしれた雪を、・・・<太宰治「断崖の錯覚」青空文庫>
  19. ・・・案内して、あなたに後で、うらまれちゃあ、……」「かまいません。三千円あったら、大丈夫でしょう。これは、あなたにお渡し致しますから、今夜、二人で使ってしまいましょう。」「いや、それはいけません。よそのひとのお金をあずかると、どうも、責・・・<太宰治「渡り鳥」青空文庫>
  20. ・・・「温泉にやりちゃあけんと、そりゃ出来ねえで、ウンと寝て癒してくんなさろ……」 息子は金がないのを詫びて、夫婦して、大事に善ニョムさんを寝かしたのだった……が、まだ六十七の善ニョムさんの身体は、寝ていることは起きて働いていることよりも・・・<徳永直「麦の芽」青空文庫>
  21. ・・・君もやらなくっちゃあ。――ただ、馬車へ乗ったり、別荘を建てたりするだけならいいが、むやみに人を圧逼するぜ、ああ云う豆腐屋は。自分が豆腐屋の癖に」と圭さんはそろそろ慷慨し始める。「君はそんな目に逢った事があるのかい」 圭さんは腕組をし・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  22. ・・・その時私が、先生こういう事を覚えて御出でですか、私は下駄を穿いて歩いてこうこうだったと御話したら、杉浦さんは、いやそれはどうも大変な違いだ、私は下駄を穿いて学校を歩くことは大賛成である、穿いちゃあならんという貼出しが出たのは、あれは文部省が・・・<夏目漱石「模倣と独立」青空文庫>
  23. ・・・おまけにちゃあんとご飯を入れる道具さえあったのです。 そしてその中に、猫大将の子供が四人、やっと目をあいて、にゃあにゃあと鳴いておりました。 猫大将は子供らを一つずつなめてやってから言いました。「お前たちはもう学問をしないといけ・・・<宮沢賢治「クねずみ」青空文庫>
  24. ・・・「私ももうこれでおめにかかれませんよ、こう弱っちゃあね」 ごぼごぼと咳をした。「どうも永年御世話様でございました」 彼女がもう二度と来ないということは、村人を寛大な心持にさせた。「せきが出るな――せきの時は食べにくいもん・・・<宮本百合子「秋の反射」青空文庫>
  25. ・・・こういいめがふかなくちゃあやりきれないもん……ねえ」と談合した。一太はそのとき勇み立って、「ああ行こうよ、行こうよおっかちゃん」と云ったが……一太は、頭を傾げ脚をふりふり、「どんなところだろうね朝鮮て! おっかちゃん」と・・・<宮本百合子「一太と母」青空文庫>
  26. ・・・「ちょっくら見て来べえ、万一何事かおっ始まってるに、おれたちゃあ酒くらって知んねえかったといわれたらなんねえ」 勘助が、もう一人と暗い土間で履物を爪先探りしている時、けたたましい声が聞こえた。「勇吉ん家が火事だぞ――っ!」 ・・・<宮本百合子「田舎風なヒューモレスク」青空文庫>
  27. ・・・お前は、 ほんとうに、もうあきあきするほど長い事っちゃあないかい。 もうあの日っから、何日目になるだろう。 こおっと、 あれは――何だったろう、お前、先月の十一日頃だったろう、 それだものもうざあっと、一月だよ。・・・<宮本百合子「栄蔵の死」青空文庫>
  28. ・・・「姉さん火の中へ逃げちゃあいけねえ」などと云うものがある。とうとう避難者や弥次馬共の間に挟まれて、身動もならぬようになる。頭の上へは火の子がばらばら落ちて来る。りよは涙ぐんで亀井町の手前から引き返してしまった。内へはもう叔父が浜町から帰って・・・<森鴎外「護持院原の敵討」青空文庫>
  29. ・・・「なんでも江戸の坊様に御馳走をしなくちゃあならないというので、蕎麦に鳩を入れて食わしてくれたっけ。鴨南蛮というのはあるが、鳩南蛮はあれっきり食った事がねえ。」「そうしていると打毀という奴が来やがった。浪人ものというような奴だ。大勢で・・・<森鴎外「里芋の芽と不動の目」青空文庫>
  30. ・・・「そんな事は学者の木村君にでも聞かなくちゃあ駄目だ」と云って、犬塚は黙ってこの話を聞いている木村の顔を見た。「そうですね。僕だって別に調べて見たこともありませんよ。無政府主義も虚無主義も名附親は分かっていますがね。」いつでも木村は何・・・<森鴎外「食堂」青空文庫>