とう‐せい【統制】例文一覧 30件

  1. ・・・ 奇妙なことには、この闇煙草の値は五つの闇市場を通じて、ちゃんと統制されているが、日によって異動がある。つまり相場の上下がある。そして、その相場はたった一人の人間が毎朝決定して、その指令が五つの闇市場へ飛び、その日の相場の統制が保たれる・・・<織田作之助「大阪の憂鬱」青空文庫>
  2. ・・・風景はにわかに統制を失った。そのなかで彼は激しい滅形を感じた。 穉い堯は捕鼠器に入った鼠を川に漬けに行った。透明な水のなかで鼠は左右に金網を伝い、それは空気のなかでのように見えた。やがて鼠は網目の一つへ鼻を突っ込んだまま動かなくなった。・・・<梶井基次郎「冬の日」青空文庫>
  3. ・・・文化国家は国家の統制力によって、個人が孤立しては到底得られないような教養と力と自由とを国民に享受せしめねばならぬ。かかる理想から労働者階級に対する国家としての道徳的義務がある。労働階級といえどもこの努力に協力するの義務がある。富裕階級が労働・・・<倉田百三「学生と教養」青空文庫>
  4. ・・・私がもし映画統制局々長とか何とかの肩書のある男であったなら、「どうも、なんですねえ、娯楽味を忘れては、なりませんですねえ」などと何の意味も無いような意見を述べても、映画界の幹部たちはひとしく感奮し、ただちに映画界の全従業員を集めて、「実にこ・・・<太宰治「芸術ぎらい」青空文庫>
  5. ・・・さて、なんの覚悟もない烏合の衆の八十人ではおそらく一坪の物置きの火事でも消す事はできないかもしれないが、しかし、もしも充分な知識と訓練を具備した八十人が、完全な統制のもとに、それぞれ適当なる部署について、そうしてあらかじめ考究され練習された・・・<寺田寅彦「からすうりの花と蛾」青空文庫>
  6. ・・・さて、何の覚悟もない烏合の衆の八十人ではおそらく一坪の物置の火事でも消す事は出来ないかもしれないが、しかし、もしも十分な知識と訓練を具備した八十人が、完全な統制の下に、それぞれ適当なる部署について、そうしてあらかじめ考究され練習された方式に・・・<寺田寅彦「烏瓜の花と蛾」青空文庫>
  7. ・・・しかしまた一方でこの過失は、適当なる統制方法によってある程度まで軽減し得られるというのもまた疑いのない事実である。 それで火災を軽減するには、一方では人間の過失を軽減する統制方法を講究し実施すると同時に、また一方では火災伝播に関する基礎・・・<寺田寅彦「函館の大火について」青空文庫>
  8. ・・・ 政府の統制の下に組織された教育のプログラムがレビュー式であるくらいだから、民間の営利機関の手に成る大衆向けの教育機関であるところの雑誌や新聞のレビュー式ないしは汽車弁当式であることは当然である。たまたまレビュー式でない雑誌はあるが、そ・・・<寺田寅彦「マーカス・ショーとレビュー式教育」青空文庫>
  9. ・・・そういう意味における統制的要素としての定座が勤めるいろいろの役割のうちで特に注目すべき点は、やはり前述のごとき個性の放恣なる狂奔を制御するために個性を超越した外界から投げかける縛繩のようなものであるかと思われる。個性だけでは知らず知らずの間・・・<寺田寅彦「連句雑俎」青空文庫>
  10. ・・・徳川幕府のアカデミアであった林氏の儒学とそのアカデミズムとは、全く幕府の権力に従属した一つの思想統制のシステムであった。幕末の、進歩的な藩に置かれた藩学校は、当時表面上は幕府法律で禁じられていた英、蘭学の学習を秘密に行ったり、「万国」の事情・・・<宮本百合子「新しいアカデミアを」青空文庫>
  11. ・・・なにしろあの当時、言論報道は全く統制されて嘘の大本営発表しか知らされなかったのだから、読者はこんにちあらわれる「秘史」にエログロと違うスリルを感じて、夏枯れしのぎに、いい思いつきのように流行しています。 これらの「秘史」「ルポルタージュ・・・<宮本百合子「新しい抵抗について」青空文庫>
  12. ・・・情報局の陸海軍人が出版物統制にあたって、自分たちの書いたものを出版させて印税をむさぼりながらすべての平和、自由を窒息させた。文学報国会が大会を陸海軍軍人の演説によって開会し、出席する婦人作家はもんぺい姿を求められたというようなことは日本の文・・・<宮本百合子「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」青空文庫>
  13.  一九四五年の八月十五日からのち、日本の民主化がいわれるようになってから、いくつかの民主化のための委員会がつくられた。文化関係で、ラジオの民主化のための放送委員会、軍国主義の出版統制の遺風を民主化するための用紙割当委員会、出・・・<宮本百合子「「委員会」のうつりかわり」青空文庫>
  14. ・・・ 病気で苦しいとき、体さえ自分で動かせないとき、看護婦のまめまめしくて、統制のあるたすけの手は、たとえようのない慰安です。そのために、日本の看護婦の過労は、もっともっとどうにかされなければならないと思います。どこの病院でも、看護婦は不足・・・<宮本百合子「生きるための協力者」青空文庫>
  15. ・・・ところが、当時の情報局文化統制は、講談社、主婦之友を極端な軍国主義に動員することで好戦意識を宣伝していたから、谷川氏の平衡論はその現実のなかで、日本のより高い理性をもつ文化能力を抹殺する理論づけになった。戦争について意見をもつ文化は、少数者・・・<宮本百合子「偽りのない文化を」青空文庫>
  16. ・・・ソヴェトではあらゆる生産が計画的生産であるから、管理者は、工場内の専門技師、工場委員会などを確りと統制し、過渡的なソヴェト社会の具体的困難を突切って、社会主義的な生産を高めて行かなければならない。ソヴェトは、この工場管理者には、出来るだけ労・・・<宮本百合子「「インガ」」青空文庫>
  17. ・・・平常から各劇場の上演目録は特別の統制機関によって選ばれている。 いつもその時ソヴェトの全勤労者がおかれている社会的情勢、細かく云えば党と職業組合との決定した線にそうて新らしい脚本は選ばれている。 ピオニェールの挨拶は何という言葉か?・・・<宮本百合子「インターナショナルとともに」青空文庫>
  18. ・・・ソヴェトの建設について「思想も統制」されることについて、私たちの日常生活は切れない影響をうけているのだから、それらは芸術化されなければならず、更にこういう主題こそ一層の形象化、具体性を必要とすると思われます。詩人の間に諷刺詩の制作の要求がお・・・<宮本百合子「歌集『集団行進』に寄せて」青空文庫>
  19. ・・・ あらゆる面で統制化されてゆくこの頃の事情は、それらの根本的な問題にどんな光明を投げるだろうか。漁村の婦人の生活の向上ということも、それだけを切りはなして語ることは出来ないのだと思う。 漁村の小学校での教育法というようなことについて・・・<宮本百合子「漁村の婦人の生活」青空文庫>
  20. ・・・翅の薄い、体の軟い弱い蝶々は幾万とかたまって空を覆って飛び、疲れると波の上にみんなで浮いて休み、また飛び立って旅をつづけ、よく統制がとれて殆ど落伍するものなく移動を成就するのだそうである。歴史の一こまを前進させるという人類の最も高貴な事業が・・・<宮本百合子「結集」青空文庫>
  21. ・・・供出したがらないには、農業会、統制会、その他の全配給機構への農民の不信任があるのだし、第一には、これまで俺たちは騙されていた、という支配権力に対する深い思いが原因しているのである。 都会の消費者は、目前の食糧難に気がたって、つい農村を羨・・・<宮本百合子「現実の必要」青空文庫>
  22. ・・・ 廃れてゆく南部鉄瓶工の名人肌の親方新耕堂久作が、古風な職人気質の愛着と意地とをこれまで自分の命をうちこんで来た鉄瓶作りに傾けて、鉄の配給統制で材料もなくなり日々の生活に窮しつつ猶組合の工場へ入って一人の労働者として働くことを肯じがたい・・・<宮本百合子「「建設の明暗」の印象」青空文庫>
  23. ・・・ 重工業の発展はソヴェトの尨大な野を統制ある農業生産場、工業原料の生産場とかえつつある。農村の活溌な社会主義的発達はとりもなおさず都会の重軽工業を敏活に運転させる調帯だ。都会から農村へ、農村から都会へ。――СССРの地図は、搾取すべき殖・・・<宮本百合子「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」青空文庫>
  24. ・・・婦人従業員をふくめた自衛団が組織され、全員十六歳から二十五歳という青年だがその統制が整然としていること。職場の特殊性をすべて争議団側に有利なように科学的に利用している点とともに、革命的指導による極めて新しいストライキの型を示すものであった。・・・<宮本百合子「刻々」青空文庫>
  25. ・・・しかも最も冷静な見とおしと統制。芸術的感興というものがこのように全心的な燃焼を要求するからこそ、芸術家にとっては、いかに生きるかというところまでが問題になって来る。興味あることです。私は決して夜更けの仕事がすきではないから、この点も改めて御・・・<宮本百合子「獄中への手紙」青空文庫>
  26. ・・・言論機関としてのジャーナリズムがつよい統制、整備のもとにおかれたのは一九四八年からだったが、その方法は、昔からみると比べものにならず技術的であった。ゴロツキ新聞の排除、用紙配給の是正、購読者の要求への即応という掘割をとおって、戦後の小新聞は・・・<宮本百合子「五〇年代の文学とそこにある問題」青空文庫>
  27. ・・・ 二、日本の文化の民主化を口実として、あらゆる機会に文化の官僚統制をもくろんでいる政府は、用紙割当事務庁案を具体化しようとしている。用紙の不足とそれにからむ不正取引摘発を機会に、内閣直属の用紙割当委員会を組織した。一九四六年に用紙割・・・<宮本百合子「今日の日本の文化問題」青空文庫>
  28. ・・・諸生産が統制のもとになされつつあることは、作品をその生産物としてもっている文学の領域にも無関係ではあり得ない。官民一致の体制は、文学の賞の本質にも十分に反映している。このことは、現実生活の中では、文部省の教科書取締りにあらわれた、文学の読み・・・<宮本百合子「今日の文学と文学賞」青空文庫>
  29. ・・・の提案の半面で、大衆というものを文化上の被供給者、被統制的な立場に置いて見ているのである。作家を軍人、官吏、実業家の活動中心と結びついたものとして文化的にも上位にあるものとして考えているのである。何か役人風な見方がここには感じられる。 ・・・<宮本百合子「今日の文学の鳥瞰図」青空文庫>
  30. ・・・しかるに幼少のころから、他人の感情を害すまい、他人の誤解を受けまいというふうな用心によって、卒直な感情の表出を統制するように訓練されて来たとなると、右のような態度そのものが、何となく浅はかなような、奥ゆかしさを欠いたものとして感ぜられるよう・・・<和辻哲郎「藤村の個性」青空文庫>