どう‐にか例文一覧 31件

  1. ・・・よろしい。よろしい。どうにかして上げますから。」 年とった支那人はこう言った後、まだ余憤の消えないように若い下役へ話しかけた。「これは君の責任だ。好いかね。君の責任だ。早速上申書を出さなければならん。そこでだ。そこでヘンリイ・バレッ・・・<芥川竜之介「馬の脚」青空文庫>
  2. ・・・しかしまあ、お庇様、どうにか蚊帳もありますから。」「ほんとに、どんなに辛かったろう、謹さん、貴下。」と優しい顔。「何、私より阿母ですよ。」「伯母さんにも聞きました。伯母さんはまた自分の身がかせになって、貴下が肩が抜けないし、そう・・・<泉鏡花「女客」青空文庫>
  3. ・・・よし河の水が増して来たところで、どうにか凌ぎのつかぬ事は無かろうなどと考えつつ、懊悩の頭も大いに軽くなった。 平和に渇した頭は、とうてい安んずべからざるところにも、強いて安居せんとするものである。       二 大雨が・・・<伊藤左千夫「水害雑録」青空文庫>
  4. ・・・おまえは、あの鳥のめんどうを見てやったら、どうにか暮らしていけないことはない。」と、夫はいいました。「ほんとうに悲しいことです。わたしは、もっと鳥のめんどうを見てやります。そして、一日も早くあなたのところへゆかれる日を待っています。」と・・・<小川未明「ちょうと三つの石」青空文庫>
  5. ・・・ そのように体裁だけはどうにか整ったが、しかし、道修町の薬種問屋には大分借りが出来、いや、その看板の代金にしたところで……。そんな状態ではいくら総発売元と大きく出しても、何程の薬をこしらえてみても、……しかも、その薬にしたところで、そろ・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  6. ・・・それがもし本当の話だったら、巡査の方でもどうにかしてくれるわけだがなあ。……がいったいここではどうして腹をこしらえていたんだ? 金はいくら持っている? 年齢はいくつだ? 青森県もどの辺だ?」 耕吉は半信半疑の気持からいろいろと問訊してみ・・・<葛西善蔵「贋物」青空文庫>
  7. ・・・吉田は胸のなかがどうにかして和らんで来るまでは否でも応でもいつも身体を鯱硬張らして夜昼を押し通していなければならなかった。そして睡眠は時雨空の薄日のように、その上を時どきやって来ては消えてゆくほとんど自分とは没交渉なものだった。吉田はいくら・・・<梶井基次郎「のんきな患者」青空文庫>
  8. ・・・「即ち僕の願はどうにかしてこの霜を叩き落さんことであります。どうにかしてこの古び果てた習慣の圧力から脱がれて、驚異の念を以てこの宇宙に俯仰介立したいのです。その結果がビフテキ主義となろうが、馬鈴薯主義となろうが、将た厭世の徒となってこの・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  9. ・・・ 彼等の思っていることは、死にたくない。どうにかして雪の中から逃がれて、生きていたい。ただそればかりであった。 雪の中へ来なければならなくせしめたものは、松木と武石とだ。 そして、道を踏み迷わせたのも松木と武石とだ。――彼等は、・・・<黒島伝治「渦巻ける烏の群」青空文庫>
  10. ・・・もしどうにかしてそれをのがれよう、それに抗しようと、くわだてる者があれば、それは、ひっきょう痴愚のいたりにすぎぬ。ただこれは、東海に不死の薬をもとめ、バベルに昇天の塔をきずかんとしたのと、同じ笑柄である。 なるほど、天下多数の人は、死を・・・<幸徳秋水「死刑の前」青空文庫>
  11. ・・・ところが、お前さん方になると、入った人が出てくるまでどうにか食って行けるだろうし、色んなものが充分差入も出来るから羨やましい。面会に行ったら、食えなくなったら仲間の人に頼んでみれ、それも長続きしなかったら、親類のところへ追い出される迄転ろげ・・・<小林多喜二「母たち」青空文庫>
  12. ・・・不自由な男の手一つでも、どうにかわが子の養えないことはあるまい、その決心にいたったのは私が遠い外国の旅から自分の子供のそばに帰って来た時であった。そのころの太郎はようやく小学の課程を終わりかけるほどで、次郎はまだ腕白盛りの少年であった。私は・・・<島崎藤村「嵐」青空文庫>
  13. ・・・しかしもう一度どうにかして上げますから、王さまに銀のびんを二つもらってお出でなさい。」と言いました。 ウイリイは銀のびんをもらって来て、馬のさしずどおりに、一つへ命の水という字を彫らせ、もう一つへは、死の水という字を彫らせました。「・・・<鈴木三重吉「黄金鳥」青空文庫>
  14. ・・・そこでどうにかしてあの人にお前さんに優しくして貰おうと思って、いろいろ骨を折って見ても、駄目だったのね。その内お前さんに約束の人が出来たでしょう。そうするとあの人が急にお前さんに恐ろしく優しくし出したのね。なんだかそれまでは心の内を隠してい・・・<著:ストリンドベリアウグスト 訳:森鴎外「一人舞台」青空文庫>
  15. ・・・ バニカンタは、どうにかして、可哀そうな娘を慰めようとしました。そして、自分の頬も涙で濡てしまいました。 愈々、明日は、カルカッタに行かなければならないと云う時になりました。スバーは、自分が子供の時から友達であったもの達に別れを告げ・・・<著:タゴールラビンドラナート 訳:宮本百合子「唖娘スバー」青空文庫>
  16. ・・・さまざま駄々をこねて居たようですが、どうにか落ち附き、三島の町はずれに小ぢんまりした家を持ち、兄さんの家の酒樽を店に並べ、酒の小売を始めたのです。二十歳の妹さんと二人で住んで居ました。私は、其の家へ行くつもりであったのです。佐吉さんから、手・・・<太宰治「老ハイデルベルヒ」青空文庫>
  17. ・・・僕がいないと、銀行で差支えるのですが、どうにかして貰えないことはなかろうと思います。」実はこれ程容易な事はない。自分がいなくても好いことは、自分が一番好く知っているのである。「宜しい。それじゃあ、明日邸へ来てくれ給え。何もかも話して聞せ・・・<著:ダビットヤーコプ・ユリウス 訳:森鴎外「世界漫遊」青空文庫>
  18. ・・・明朝になったなら、またどうにかしようというのであった。しかしそれは画餅になった。おれはとうとう包みと一しょに寝た。十二キロメエトル歩いたあとだからおれは随分くたびれていて、すぐ寝入った。そうすると間もなく戸を叩くものがある。戸口から手が覗く・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  19. ・・・肥った赤ら顔の快活そうな老西洋人が一人おり立って、曲がった泥よけをどうにか引き曲げて直した後に、片手を高くさしあげてわれわれをさしまねきながら大声で「ドモスミマシェン」と言って嫣然一笑した。そうして再びエンジンの爆音を立てて威勢よく軽井沢の・・・<寺田寅彦「あひると猿」青空文庫>
  20. ・・・そうなれば、金の方は後でどうにか心配するけれど、今はちょっとね」「二度ばかり、松山の伯父さんとこへお尋ねしたそうですが、青木さんが叔父さんに逢ってお話したいそうですがいずれ私たちの悪口でしょうと思いますけれど」 道太はそれは逢っても・・・<徳田秋声「挿話」青空文庫>
  21. ・・・瀕死の境に至っておめおめ帰りたくなるような事が起るくらいならば、移住を思立つにも及ぶまい。どうにか我慢して余生を東京の町の路地裏に送った方がよいであろう。さまざま思悩んだ果は、去るとも留るとも、いずれとも決心することができず、遂に今日に至っ・・・<永井荷風「西瓜」青空文庫>
  22. ・・・「なあに年が年中思っていりゃ、どうにかなるもんだ」「随分気が長いね。もっとも僕の知ったものにね。虎列拉になるなると思っていたら、とうとう虎列拉になったものがあるがね。君のもそう、うまく行くと好いけれども」「時にあの髯を抜いてた爺・・・<夏目漱石「二百十日」青空文庫>
  23. ・・・ただ亡児の俤を思い出ずるにつれて、無限に懐かしく、可愛そうで、どうにかして生きていてくれればよかったと思うのみである。若きも老いたるも死ぬるは人生の常である、死んだのは我子ばかりでないと思えば、理においては少しも悲しむべき所はない。しかし人・・・<西田幾多郎「我が子の死」青空文庫>
  24. ・・・おれならそう云う奴をどうにかして捜し出す。もしおめえの云うような値打の物なら、二人で生涯どんな楽な暮らしでも出来るのだ。どれ、もう一遍おれに見せねえ。」 爺いさんは目を光らせた。「なに、おれの宝石を切るのだと。そんな事が出来るものか。そ・・・<著:ブウテフレデリック 訳:森鴎外「橋の下」青空文庫>
  25. ・・・こいつ今の間にどうにか禦いで置かなきゃいかんわい……それにはロシア語が一番に必要だ。と、まあ、こんな考からして外国語学校の露語科に入学することとなった。 で、文学物を見るようになったのは、語学校へ入って、右のような一種の帝国主義に浮かさ・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  26. ・・・私たちはどうにかしてできるだけ面白くそれをやろうと思うのです。<宮沢賢治「イギリス海岸」青空文庫>
  27. ・・・誰からも愛されず、内心では互にさげすみつつ、食物のたっぷりした処を探しては自分で食って来るので、どうにか此年月が過て来た。          二 この瞬間が、いつ迄続くものだろう。 真先にここに気づいた仙二は、さすが青年・・・<宮本百合子「秋の反射」青空文庫>
  28. ・・・それでも屈せずに、選んだ問題だけは、どうにかこうにか解決を附けた。自分ではひどく不満足に思っているが、率直な、一切の修飾を却けた秀麿の記述は、これまでの卒業論文には余り類がないと云うことであった。 丁度この卒業論文問題の起った頃からであ・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  29. ・・・そこでわたくしは非常に反抗心を起したのです。どうにかして本当の好男子になろうとしたのですね。 女。それはわたくしに分かっていましたの。 男。夜寝られないと、わたくしは夜どおしこんな事を思っていました。あんな亭主を持っているあなたがわ・・・<著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外「最終の午後」青空文庫>
  30. ・・・土産も何もあらへんけど、二円五十銭持ってるのやが、どうにかならんかのう?」「要るもんか。」「要らんか、頼むぜ。」「行こ行こ。」「ちょっと待ってくれ、お霜さん、飯ないかなア、腹へって、腹へって。」「飯か? 今頃お前、夕飯前・・・<横光利一「南北」青空文庫>