ととの・える〔ととのへる〕【整える/調える/斉える】例文一覧 9件

  1. ・・・もっとも今日の保吉は話の体裁を整えるために、もっと小説の結末らしい結末をつけることも困難ではない。たとえば話を終る前に、こう云う数行をつけ加えるのである。――「保吉は母との問答の中にもう一つ重大な発見をした。それは誰も代赭色の海には、――人・・・<芥川竜之介「少年」青空文庫>
  2. ・・・な贅沢を言い、五つのパンと魚が二つ在るきりの時でさえ、目前の大群集みなに食物を与えよ、などと無理難題を言いつけなさって、私は陰で実に苦しいやり繰りをして、どうやら、その命じられた食いものを、まあ、買い調えることが出来るのです。謂わば、私はあ・・・<太宰治「駈込み訴え」青空文庫>
  3. ・・・私は、衣食住に於いては吝嗇なので、百円以上も投じて洋装を整えるくらいなら、いっそわが身を断崖から怒濤めがけて投じたほうが、ましなような気がするのである。いちど、N氏の出版記念会の時、その時には、私には着ている丹前の他には、一枚の着物も無かっ・・・<太宰治「服装に就いて」青空文庫>
  4. ・・・たとえば蓄音機円盤が出勤簿レジスターの円盤にオーバーラップするとか、あるいはしわくちゃのハンケチを持った手を絞り消して絞り明けると白いばらの花束を整える手に変わる。あるいは室内のトランクが汽車の網棚のトランクに移り変わるような種類である。と・・・<寺田寅彦「映画芸術」青空文庫>
  5. ・・・ 友情のそういう健全な敏感さは、日常の接触のおりおり、みだす力としてより整える力として発露して、異性の間の友情をも調整して行くものである。くだらない偶然で紛糾をひきおこすことは避けるだけの実際性にも富んでいることが生活態度としてある貴い・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>
  6. ・・・しかし緊密であるというのは、歌のこころ、歌の世界がひしとうち出されてのことであって、格調を整える語彙というもの、用語法というもの、ましては型であってはつまりません。 短歌は日本の民族がもって来た文学のジャンルですから、それを破壊するより・・・<宮本百合子「歌集『仰日』の著者に」青空文庫>
  7. ・・・どの作にも十分具わっているとは云えないという序文の言葉は正しいと思いますが、私が短歌の素人として読んだ感じでは、例えば、よろめけばよろめく方から打って来る拳に歯をくいしばって体勢を整える。    ×なぐらせるとい・・・<宮本百合子「歌集『集団行進』に寄せて」青空文庫>
  8. ・・・ バルザックは、ユーゴオのようにギリシャ悲劇の教養を土台にして、その作品に美と獣性、淫蕩と清純な愛、我慾と献身という風な二元的な対位法を使い、ロマンティックな荘重さ、熱烈さ、高揚で、文体を整えることも出来なかった。バルザックはこれらの輝・・・<宮本百合子「バルザックに対する評価」青空文庫>
  9. ・・・急に女子労務者が激増しても、その条件にふさわしい便所、食堂、更衣室その他の設備を整えることについて、政府はちっとも工場主を監督し激励するところがなかった。彼等の利潤追求におもねるばかりであった。 食糧は規格統制に従って配給されるようにな・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>