と‐ばく【賭博】例文一覧 17件

  1. ・・・(それは或独逸僕はいつか憂鬱の中に反抗的精神の起るのを感じ、やぶれかぶれになった賭博狂のようにいろいろの本を開いて行った。が、なぜかどの本も必ず文章か挿し画かの中に多少の針を隠していた。どの本も?――僕は何度も読み返した「マダム・ボヴァリイ・・・<芥川竜之介「歯車」青空文庫>
  2. ・・・――町の、右の、ちゃら金のすすめなり、後見なり、ご新姐の仇な処をおとりにして、碁会所を看板に、骨牌賭博の小宿という、もくろみだったらしいのですが、碁盤の櫓をあげる前に、長屋の城は落ちました。どの道落ちる城ですが、その没落をはやめたのは、慾に・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  3. ・・・…… 若い時は、渡り仲間の、のらもので、猟夫を片手間に、小賭博なども遣るらしいが、そんな事より、古女房が巫女というので、聞くものに一種の威力があったのはいうまでもない。 またその媼巫女の、巫術の修煉の一通りのものでない事は、読者にも・・・<泉鏡花「神鷺之巻」青空文庫>
  4. ・・・男ッぷりがいいので、若い時は、お袋の方が惚れ込んで、自分のかせぎ高をみんな男の賭博の負けにつぎ足しても、なお他の女に取られまい、取られまいと心配したのだろうと思われる。年が寄っても、その習慣が直らないで、やッぱりお袋にばかり世話を焼かせてい・・・<岩野泡鳴「耽溺」青空文庫>
  5. ・・・一の字を彫りつけられたのは、抗夫長屋ではやっていた、オイチョカブ賭博の、一、二、三、四、五、六、七、八、九のうち、この札を引けば負けと決っている一の意味らしかった。刺青をされて間もなく炭坑を逃げ出すと、故郷の京都へ舞い戻り、あちこち奉公した・・・<織田作之助「競馬」青空文庫>
  6. ・・・南海通にもあくどいペンキ塗りのバラックの飲食店や闇商人の軒店や街頭賭博屋の屋台が並んでいて、これが南海通かと思うと情けなく急ぎ足に千日前へ抜けようとすると、続けざまに二度名前を呼ばれた。声のする方をひょいと見ると、元「波屋」があった所のバラ・・・<織田作之助「神経」青空文庫>
  7. ・・・だから検挙して検事局へ廻しても、検事局じゃ賭博罪で起訴出来ないかも知れない、警察が街頭博奕を放任してるのもそのためだと、嘘か本当か知らんが穿ったことを言っていたよ。まアそんなものだから、よした方がいいと思うな」「いや、今度は大丈夫儲けて・・・<織田作之助「世相」青空文庫>
  8. ・・・遣らねえものは燧木の賭博で椋鳥を引っかける事ばかり。その中にゃあ勝ちもした負けもした、いい時ゃ三百四百も握ったが半日たあ続かねえでトドのつまりが、残ったものア空財布の中に富籤の札一枚だ。こいつあ明日になりゃあ勝負がつくのだ、どうせ無益にゃあ・・・<幸田露伴「貧乏」青空文庫>
  9. ・・・私立大学の、予科にかよっているのだが、少し不良で、このあいだも麻雀賭博で警察にやっかいをかけた。あたしの結婚の相手は、ずいぶんまじめな、堅気の人だし、あとあと弟がそのお方に乱暴なことでも仕掛けたら、あたしは生きて居られない。「それは、お・・・<太宰治「花燭」青空文庫>
  10. ・・・麻雀賭博で、二度も警察に留置せられた。喧嘩して、衣服を血だらけにして帰宅する事も時々あった。節子の箪笥に目ぼしい着物がなくなったと見るや、こんどは母のこまごました装身具を片端から売払った。父の印鑑を持ち出して、いつの間にやら家の電話を抵当に・・・<太宰治「花火」青空文庫>
  11. ・・・麻雀賭博を学校の子供たちに教えてやっていたのです。たぶん、そんな事じゃないかと思っていました。ちょっと警察に行って来ます。(会釈(蹌踉僕も行く。だめ、だめ。あなたはもう、どだい、歩けやしませんよ。さ、行こう。奥田教師、学・・・<太宰治「春の枯葉」青空文庫>
  12. ・・・ 主人公の老富豪が取引所の柱の陰に立って乾坤一擲の大賭博を進行させている最中に、従僕相手に五十銭玉一つのかけをするくだりがある。そのかけにも老主人が勝ってそうしてすまして相手の銭をさらって、さて悠々と強敵と手詰めの談判に出かけるところに・・・<寺田寅彦「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」青空文庫>
  13. ・・・たとえばこれを懐中しているとトランプでもその他の賭博でも必勝を期することができるというのであったらしい。もちろんこの効験は偶然の方則に支配されるのである。「丸葉柳」のほうはどんな物だか、何に使うのか、それについては自分の記憶も知識も全然・・・<寺田寅彦「物売りの声」青空文庫>
  14. ・・・ 丁度その時、辮髪の支那兵たちは、物悲しく憂鬱な姿をしながら、地面に趺坐して閑雅な支那の賭博をしていた。しがない日傭人の兵隊たちは、戦争よりも飢餓を恐れて、獣のように悲しんでいた。そして彼らの上官たちは、頭に羽毛のついた帽子を被り、陣営・・・<萩原朔太郎「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」青空文庫>
  15. ・・・○彼の二重性格者たる彼の生存の根本意志を象徴的に示すものとしての賭博ルーレットの赤と黒○「いたるところ、何事によらず、生涯私は限界をのりこえた」神と悪魔とに緊張せしめる、○ドストイェフスキーは決して規範を求めず、ただ充実をもつの・・・<宮本百合子「ツワイク「三人の巨匠」」青空文庫>
  16. ・・・特別の技能を持たず、収入の途を図れない人々が落ちて行くところは闇商売であり、賭博である。 戦時中、あんなに「愛国心」に愬え「非常時の国民的良心」に愬え「新兵器としての婦人」を動員した戦争犯罪の支配者は、このようにして家庭から引離して集め・・・<宮本百合子「私たちの建設」青空文庫>
  17. ・・・何故なら、ポーランド人の中にはいろいろな曖昧な職業に従事するものがひどく多いことは、昔、ドストイェフスキーの小説「賭博者」を読んだ時から知っている。ロシア人はこんな格言を持っている。 ――ポーランド人はなんにもない所から立派なズボンをこ・・・<宮本百合子「ワルシャワのメーデー」青空文庫>