にえ‐かえ・る〔‐かへる〕【煮え返る】例文一覧 2件

  1. ・・・深き夜を焦せとばかり煮え返るほのおの声は、地にわめく人の叫びを小癪なりとて空一面に鳴り渡る。鳴る中には砕けて砕けたる粉が舞い上り舞い下りつつ海の方へと広がる。濁る浪の憤る色は、怒る響と共に薄黒く認めらるる位なれば櫓の周囲は、煤を透す日に照さ・・・<夏目漱石「幻影の盾」青空文庫>
  2. ・・・そのうち臓腑が煮え返るようになって、獣めいた叫びが口から出ようとするのを、歯を食いしばってこらえた。たちまち正道は縛られた縄が解けたように垣のうちへ駆け込んだ。そして足には粟の穂を踏み散らしつつ、女の前に俯伏した。右の手には守本尊を捧げ持っ・・・<森鴎外「山椒大夫」青空文庫>