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よ‐ほど【余程】例文一覧 30件

  1. ・・・「もうそろそろ時刻になるな、相手はあんな魔法使だし、御嬢さんはまだ子供だから、余程運が好くないと、――」 遠藤の言葉が終らない内に、もう魔法が始まるのでしょう。今まで明るかった二階の窓は、急にまっ暗になってしまいました。と同時に不思・・・<芥川竜之介「アグニの神」青空文庫>
  2. ・・・「今日は余程暖いようですな。」「さようでございます。こうして居りましても、どうかすると、あまり暖いので、睡気がさしそうでなりません。」 内蔵助は微笑した。この正月の元旦に、富森助右衛門が、三杯の屠蘇に酔って、「今日も春恥しからぬ・・・<芥川竜之介「或日の大石内蔵助」青空文庫>
  3. ・・・その頭と、下から出かかった頭が二つ……妙に並んだ形が、早や横正面に舞台の松と、橋がかりの一二三の松が、人波をすかして、揺れるように近々と見えるので……ややその松の中へ、次の番組の茸が土を擡げたようで、余程おかしい。……いや、高砂の浦の想われ・・・<泉鏡花「木の子説法」青空文庫>
  4. ・・・「はい、沢井さんといって旦那様は台湾のお役人だそうで、始終あっちへお詰め遊ばす、お留守は奥様、お老人はございませんが、余程の御大身だと申すことで、奉公人も他に大勢、男衆も居ります。お嬢様がお一方、お米さんが附きましてはちょいちょいこの池・・・<泉鏡花「政談十二社」青空文庫>
  5. ・・・是は又余りに失敬なと腹の中に熱いうねりが立つものから、予は平気を装うのに余程骨が折れる。「君夕飯はどうかな。用意して置いたんだが、君があまりに遅いから……」「ウン僕はやってきた。汽車弁当で夕飯は済してきた」「そうか、それじゃ君一・・・<伊藤左千夫「浜菊」青空文庫>
  6. ・・・ 思いの外に早く用が足りたし、日も昇りかけたが、蜩はまだ思い出したように鳴いてる、つくつくほうしなどがそろそろ鳴き出してくる、まだ熱くなるまでには、余程の間があると思って、急に思いついて姪子の処へ往った。 お町が家は、松尾の東はずれ・・・<伊藤左千夫「姪子」青空文庫>
  7. ・・・それを傍の人間が救う、その行為が果して愛であるか否かは余程疑問である。苦しんでいる人間をして飽くまで苦しませるという事は、その人間が軈て何物かに突当る事を得せしむるものだ。半途でそれを救うとしたならば、その人間は終に行く所まで行かずして仕舞・・・<小川未明「愛に就ての問題」青空文庫>
  8.  子供は、自分のお母さんを絶対のものとして、信じています。そのお母さんに対して、註文を持つというようなことがあれば、それは、余程大きくなってからのことでありましょう。たとえば、お母さんに頼んだことを、きちんとしてもらいたいとか、また、他・・・<小川未明「お母さんは僕達の太陽」青空文庫>
  9. ・・・を生じたのである、ところが俳優も旅の身故、娘と種々名残を惜んで、やがて、己は金沢を出発して、その後もまた旅から旅へと廻っていたのだ、しかしその後に彼はその娘の消息を少しも知らなかったそうだが、それから余程月日が経ってから、その話を聞いて、始・・・<小山内薫「因果」青空文庫>
  10. ・・・そしてそれも余程慎重に突かぬと、相手に手抜きをされる惧れがある。だから、第一手に端の歩を突くのは、まるで滅茶苦茶で、乱暴といおうか、気が狂ったといおうか、果して相手の木村八段は手抜きをした。坂田は後手だったから、ここで手抜きされると、のっけ・・・<織田作之助「可能性の文学」青空文庫>
  11. ・・・ ところが、この博労町の金米糖屋の娘は余程馬鹿な娘で、相手もあろうにお前のものになってしまった。それも蓼食う虫が好いて、ひょんなまちがいからお前に惚れたとか言うのなら、まだしも、れいの美人投票で、あんたを一等にしてやるからというお前の甘・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  12. ・・・昔を憶出せば自然と今の我身に引比べられて遣瀬無いのは創傷よりも余程いかぬ! さて大分熱くなって来たぞ。日が照付けるぞ。と、眼を開けば、例の山査子に例の空、ただ白昼というだけの違い。おお、隣の人。ほい、敵の死骸だ! 何という大男! 待てよ・・・<著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷「四日間」青空文庫>
  13. ・・・彼はこの種を蒔いたり植え替えたり縄を張ったり油粕までやって世話した甲斐もなく、一向に時が来ても葉や蔓ばかし馬鹿延びに延びて花の咲かない朝顔を余程皮肉な馬鹿者のようにも、またこれほど手入れしたその花の一つも見れずに追い立てられて行く自分の方が・・・<葛西善蔵「子をつれて」青空文庫>
  14. ・・・これは余程思切った事で、若し医師が駄目と言われたら何としようと躊躇しましたが、それでも聞いておく必要は大いにあると思って、決心して診察室へはいりました。医師の言われるには、まだ足に浮腫が来ていないようだから大丈夫だが、若し浮腫がくればもう永・・・<梶井久「臨終まで」青空文庫>
  15. ・・・「イヤお恥しいことだが僕は御存知の女気のない通り詩人気は全くなかった、『権利義務』で一貫して了った、どうだろう僕は余程俗骨が発達してるとみえる!」と綿貫は頭を撫てみた。「イヤ僕こそ甚だお恥しい話だがこれで矢張り作たものだ、そして何か・・・<国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」青空文庫>
  16. ・・・いったい病身な児だから余程気をつけないと不可ませんよ」と云いつつ今度は自分の方を向いて、「学校の方はどうだね」「どうも多忙しくって困ります。今日もこれから寄附金のことで出掛けるところでした」「そうかね、私にかまわないでお出かけよ・・・<国木田独歩「酒中日記」青空文庫>
  17. ・・・勿論厳格に仕付けられたのだから別に苦労には思わなかったが、兎に角余程早く起き出て手捷くやらないでは学校へ往く間に合うようには出来ないのみならず、この事が悉皆済んで仕舞わないうちは誰も朝飯を食べることは出来ないのでした。斯のように神仏を崇敬す・・・<幸田露伴「少年時代」青空文庫>
  18. ・・・これを研究したらば誰も真理を発明するのサ。余程面白い事だぜ、君も試に考えて見玉え。これが大真理だよ。中々分るまい。どうだ爰だよ、僕の新発明は。僕はそれからなぜだか分らないから頻りに宇宙を見たのサ、道は曲ッてついている、真直にすれば近・・・<幸田露伴「ねじくり博士」青空文庫>
  19. ・・・それでも勤めますと後二三日は身体が利かんくらいだという、余程稽古のむずかしいものと見えます。許し物と云って、其の中に口伝物が数々ございます。以前は名人が多かったものでございます。觀世善九郎という人が鼓を打ちますと、台所の銅壺の蓋がかたりと持・・・<著:三遊亭円朝 校訂:鈴木行三「梅若七兵衞」青空文庫>
  20. ・・・ 先生は思いやるように、「広岡さんも今、上田で数学の塾を開いてますが、余程の逆境でしょう……まあ、私共も先生に同情して、いくらかの時間を助けに来て頂くことにしたんです……それに、君、吾々の塾も中学の設備をして、認可でも受けようという・・・<島崎藤村「岩石の間」青空文庫>
  21. ・・・私が両膝をそろえて、きちんと坐り、火鉢から余程はなれて震えていると、「なんだ。おまえは、大臣の前にでも坐っているつもりなのか。」と言って、機嫌が悪い。 あまり卑下していても、いけないのである。それでは、と膝を崩して、やや顔を上げ、少・・・<太宰治「一燈」青空文庫>
  22. ・・・おれはこの出来事のために余程興奮して来たので、議会に行くことはよしにした。ぶらぶら散歩して、三十分もたってから、ちょうど歩いていたスプレエ川の岸から、例の包を川へ投げた。あたりを見廻しても人っ子一人いない。 晩までは安心して所々をぶらつ・・・<著:ディモフオシップ 訳:森鴎外「襟」青空文庫>
  23. ・・・其頃になってからは瞽女の風俗も余程変って来て居た。幾らか綺麗な若いものは三味線よりも月琴を持って流行唄をうたって歩いた。そうして目明が多くなった。お石は来なかった。それっきり来なくなったのである。太十は落胆した。迷惑したのは家族のものであっ・・・<長塚節「太十と其犬」青空文庫>
  24. ・・・もっとも書き初めた時と、終る時分とは余程考が違って居た。文体なども人を真似るのがいやだったから、あんな風にやって見たに過ぎない。 何しろそんな風で今日迄やって来たのだが、以上を綜合して考えると、私は何事に対しても積極的でないから、考えて・・・<夏目漱石「処女作追懐談」青空文庫>
  25. ・・・左れば此一節は女大学記者も余程勘弁して末段に筆を足し、婦人の心正しければ子なくとも去るに及ばずと記したるは、流石に此離縁法の無理なるを自覚したることならん。又妾に子あらば妻に子なくとも去るに及ばずとは、元来余計な文句にして、何の為めに記した・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  26. ・・・話は少し以前に遡るが、私は帝国主義の感化を受けたと同時に、儒教の感化をも余程蒙った。だから一方に於ては、孔子の実践躬行という思想がなかなか深く頭に入っている。……いわばまあ、上っ面の浮かれに過ぎないのだけれど、兎に角上っ面で熱心になっていた・・・<二葉亭四迷「予が半生の懺悔」青空文庫>
  27. ・・・楢夫は余程撲ってやろうと思いましたが、あんまりみんな小さいので、じつと我慢をして居ました。 みんなは縛ってしまうと、互に手をとりあって、きゃっきゃっと笑いました。 大将が、向うで、腹をかかえて笑いながら、剣をかざして、「胴上げい・・・<宮沢賢治「さるのこしかけ」青空文庫>
  28. ・・・ 彼女のむきな調子には何か涙が滲む程切迫つまったところがあった。余程急に出立でもしなければならないのか、又はその転地が夫婦にとって余程の大事件であるか、何方にしろ只ごとではないと思わせた動顛と苦しさとが彼女の全身に漲っていたのである。・・・<宮本百合子「或る日」青空文庫>
  29. ・・・ 洋行すると云うことになってから、余程元気附いて来た秀麿が、途中からよこした手紙も、ベルリンに著いてからのも、総ての周囲の物に興味を持っていて書いたものらしく見えた。印度の港で魚のように波の底に潜って、銀銭を拾う黒ん坊の子供の事や、ポル・・・<森鴎外「かのように」青空文庫>
  30. ・・・すると、どちらも同じように、病人が最早や自分達と余程離れた不思議な遠い世界にいることを感じて恐ろしくなって来た。が直ぐその後で、お霜は病人が紙幣を自分に預ってくれと頼んだとき、預っておけば好かったと思って後悔した。だが、お留は、安次に与えよ・・・<横光利一「南北」青空文庫>