おため‐ごかし【御為ごかし】
表面は人のためにするように見せかけて、実は自分の利益を図ること。じょうずごかし。「—の親切」「—を言う」
ごかし
[接尾]《動詞「こかす」の連用形「こかし」の語頭が濁音化したもの》体言に付いて、口実を設けて自分の利を図る意を表す。「おため—」「親切—」
しら‐ごかし
しらじらしく振る舞うこと。しらばくれること。「捻(ねぢ)って出だせし鼻紙の、—こそ笑止なれ」〈浄・二枚絵草紙〉
しんせつ‐ごかし【親切ごかし】
[名・形動]親切らしく見せかけて、自分の利益を図ること。また、そのさま。「—に勧める」「—な(の)態度」
じょうず‐ごかし【上手ごかし】
口先がうまく、へつらって相手に親切らしく見せかけ取り入ること。おためごかし。「手並みに怖(お)ぢて—、食はぬ食はぬ」〈浄・今国性爺〉
すい‐ごかし【粋ごかし】
粋人扱いをしておだてあげ、こちらの思うようにすること。「—颯(そそ)り、人の気を取りけれど」〈浮・一代女・六〉
つつ‐ごかし【筒転かし】
《竹の銭筒に入れておよそ100文ずつ計るときに多少の過不足があるところから》銭勘定をごまかすこと。また一般に、ごまかすこと。詐欺。「手ひどいころり、これがほんの—、かたりめに出逢うた」〈浄・鬼一法眼〉
なさけ‐ごかし【情けごかし】
情けがあるかのように振る舞って、実は自分のためにすること。「親切な介抱は—にこの金を取らうたくみであったるか」〈伎・小袖曽我〉
ね‐こかし【寝転かし】
《「ねごかし」とも》寝ている人をそのまま放っておくこと。特に、遊里で客が寝ている間に、遊女がこっそりいなくなってしまうこと。「其の方はそれなり—を喰わしてしまうのだ」〈荷風・つゆのあとさき〉