ここ‐な【此処な】
《「ここ(此処)なる」から》 [連体] 1 人や物を表す語の上に付いて、それがすぐ手近にあることを示す。ここにいる。ここにある。この。「—殿様へ売ったほどに、そなたへやることはならぬ」〈虎明狂...
さし‐た
[連体]《「さしたる」の音変化。下に打消しの語を伴って用いる》取り立てていうほどの。これという。「—目的もなく参加した」 [補説]「然した」とも書く。
さし‐と・む【鎖し留む】
[動マ下二]戸や門を閉ざし中にとじこめる。「—・むる葎(むぐら)や繁き東屋のあまりほどふる雨そそきかな」〈源・東屋〉
さしてもな・い
それほどのことでもない。大したことでもない。「—・いことを、そのやうに厚う礼を言はれては」〈伎・青砥稿〉
さしめ
《尊敬の助動詞「さしも」の命令形》軽い敬意を含んだ命令や要求を表す。…なさい。…ください。→しめ「身ひとりはえ行くまいほどに、わごりょも来てくれさしめ」〈虎明狂・乳切木〉 [補説]室町後期に用い...
さし‐こも・る【鎖し籠もる】
[動ラ四]門や戸を締めきってひきこもる。閉じこもる。「ことながき物忌みに—・りたるほどに」〈かげろふ・上〉
然(さ)しもな・し
1 そうでもない。「夜鳴くもの、なにもなにもめでたし。ちごどものみぞ—・き」〈枕・四一〉 2 それほどでもない。大したことではない。「—・き平城(ひらじゃう)に籠りて」〈太平記・一七〉
さし‐すぐ・す【差し過ぐす】
[動サ四]「差し過ぐ1」に同じ。「御対面のほど、—・したる事どもあらむかし」〈源・常夏〉
さし‐かえし【差し返し】
天皇から杯を賜ったとき、その酒を移しかえて飲む土器(かわらけ)。「—賜りて、下りて、舞踏し給へるほど」〈源・宿木〉
さしも‐に【然しもに】
[連語]あれほどに。あんなに。「—広い浦も彼らの群で雑沓(ざっとう)し」〈中勘助・鶴の話〉