いい‐くん・ず【言ひ屈ず】
[動サ変]言って力を落とす。しょげて言う。「昨日までさばかりあらむものの、夜のほどに消えぬらむこと、と—・ずれば」〈枕・八七〉
いいしら◦ず【言ひ知らず】
[連語]《動詞「いいしる」の未然形+打消しの助動詞「ず」》何とも言いようがないようす。善悪・美醜などの両方に使う。「—◦ず(=スバラシク)なまめかしう見ゆ」〈源・賢木〉 「—◦ぬ(=ツマラナイ)...
いい‐た・つ【言ひ立つ】
[動タ四] 1 ものを言いながら立っている。「物をいと久しう—・ち給へれば」〈枕・四九〉 2 言い始める。「同じくは、さらば帝の御上よりこそ—・ちなめ」〈無名草子〉 3 うわさが立つ。「いかに...
いい‐や・る【言い遣る】
[動ラ五(四)] 1 言って相手に伝える。伝言を使いや手紙で告げる。「用向きを—・る」 2 (多く打消しの語を伴って用いる)言うべきことを、終わりまですっかり言う。言い尽くしてしまう。「弁のおも...
い‐い・る【居入る】
[動ラ四]座り込む。居座る。「常に来つつ—・りて、調度うち散らしぬる、いとにくし」〈枕・二八〉
いい‐わずら・う【言ひ煩ふ】
[動ハ四]言いようがなくて苦しむ。言い悩む。言いかねる。「—・ひて、消息(せうそこ)などするこそをかしけれ」〈枕・二三七〉
いうかい‐な・し【言ふ甲斐無し】
[形ク] 1 言ってもその効果がない。「あやしがりいへど、使ひのなければ—・くて」〈枕・二七七〉 2 言ってみても取り返しがつかない。特に、死ぬことを遠回しにいう。「さこそ強がり給へど、若き御心...
言(い)うべきにもあら◦ず
口に出して言うまでもない。「雪の降りたるは—◦ず」〈枕・一〉
いえ‐つ‐とり【家つ鳥】
[枕]家で飼う鳥の意から「鶏(かけ)」にかかる。「野つ鳥雉(きぎし)はとよむ—かけも鳴く」〈万・三三一〇〉
いおり‐さ・す【庵さす】
[動サ四]庵をつくる。庵を結ぶ。「—・す草の枕にともなひてささの露にも宿る月かな」〈山家集・下〉