くせに/のに の解説 - 小学館 類語例解辞典

くせに/のに の共通する意味

逆接の確定条件を表わす。

くせに/のに の使い方

くせに
▽(1)本当は知っているくせに知らないふりをしている ▽(2)あいつはまだ新米のくせに、遅刻をしても平気な顔をしている ▽(3)子供のくせに生意気なことを言う
のに
▽何度も注意しているのにまだわからないの ▽重要な会議なのに欠席者が多い ▽よせばいいのに相場などに手を出すからだ

くせに/のに の使い分け

「くせに」は、「XくせにY」の形で、Xから予想される事柄に反する内容のYが起こることを表わす。「のに」に近いが、自然現象(表例(1))や無生物は主体にしにくいこと、XとYの主体が同一でなければ使えないこと(表例(3))、一人称の行為や状態には使いにくいこと(表例(4))など、「くせに」のほうに語法上の制約が多い。ただし、無生物主語の場合でも、裏に人物が隠れていたり擬人法が用いられたりするときには「くせに」も使うことができる(表例(2))。
「くせに」と「のに」では、「くせに」のほうに、とり上げて言いたてているものを非難や反発・軽蔑(けいべつ)する気持ちが強い。そのため、同情したりほめたりする場合(表例(5))に、「くせに」を使うのはやや不自然である。「くせに」の例文(2)は、新米のときは遅刻をしないでちゃんと来るものだ、という話し手の見方が先にあり、そうではない「あいつ」を非難する気持ちが強い。
「XくせにY」「XのにY」の形からYを省略すると、「くせに」「のに」の終助詞的用法となる。Yは倒置の形であらかじめ述べられていたり、文脈から明らかであることが多い。「くせに」の場合、Xまでで言いさすことで、非難・反発・軽蔑の気持ちが強くこめられる。「内心では二度と来てやるものかと思っているくせに」「この部屋はずいぶん家賃が高いわねえ、お風呂もついてないのに

くせに/のに の関連語

くせして
「くせに」より非難や反発の気持ちが強い。一般に話し言葉として用いられる。「自分は葉書き一枚くれなかったくせして、私の筆不精を責めるんだから」「子供のくせして酒を飲むなんてとんでもない奴(やつ)だ」

くせに/のに の類語対比表

①まだ朝四時の(な)…もう明るい②このそば屋はまずい…高い③ずっと待っていた…あなたは来なかった④私はこんなに元気な…どこが病気なのだろう⑤幼い…家の手伝いをするなんて感心だ
くせに
のに(な)○

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