てはいけない/てはならない の解説 - 小学館 類語例解辞典

てはいけない/てはならない の共通する意味

禁止を表わす。

てはいけない/てはならない の使い方

てはいけない
▽このままうちに帰ってはいけないですか ▽こら、土足で入ってはいけない!
てはならない
▽もう二度と戦争など起こしてはなりません ▽決してうそをついてはならないという教えを破ってしまった

てはいけない/てはならない の使い分け

「てはいけない」は、相手に向かってその行為を禁止するような場面で多く使われる。有無を言わせずに禁ずるというときだけでなく、その行為は好ましくない、といった態度で相手の行為を認めようとしない場合にも使える。ただ、自分より目上の人に対しては、この表現を使わずに依頼(「…ないでください」など)や提案(「…ないほうがいい」など)の形を使うことが多い。
「てはならない」も、ある動作や行為を禁ずる表現だが、義務感や責任感から当然禁ずるべきだと思われる事柄の場合に使われる。「てはいけない」は、ある個人のある行為をその場面で取り上げて禁止することが多いのに対し、「てはならない」は、一般論として許されない行為やあるまじき行為を並べ上げるといった客観的な表現で、法律の条文などに多く見られる。たとえば、「来てはならないところに来てしまった」というと、規則などで禁じられているような意味合いが感じられるが、「来てはいけないところに来てしまった」というと、他の人は来てもかまわないかもしれないが自分にとってはよくないという個人的な禁止意識が強く感じられる。
丁寧な言い方としては「てはいけません」「てはなりません」、会話体では「ちゃいけない」「ちゃならない」がある。また、西日本の方言などで、男性がきびしく禁ずる場合に「てはいかん」「てはならん」を用いる。また、文章などで「てはならぬ」を使うこともある。

てはいけない/てはならない の関連語

ことはいけない・ことはならない
いくつかの禁止項目を列挙したりする場合に用いられることが多い。「許可された者以外立ち入ることはならない」
てはだめ(だ)・たらだめ(だ)
「てはいけない」より会話的で少しやわらかい表現。「つまみ食いしてはだめだよ」「そんなふうに病人を動かしたらだめですよ」
ものではない
「てはならない」よりやわらかい表現。「男の子はいつまでもめそめそするものではない」
べからず
掲示・看板に多く見られる文語的な禁止表現。「芝生に入るべからず」