一 彼は若い愛蘭土人だった。彼の名前などは言わずとも好い。僕はただ彼の友だちだった。彼の妹さんは僕のことを未だに My brother's best friend と書いたりしている。僕は彼と初対面の・・・ 芥川竜之介 「彼 第二」
・・・しみじみと独り炉に向って、Rvons……le feu s'allume とか何とか考えていそうに見えるのである。 序ながら書き加えるが、小杉氏は詩にも堪能である。が、何でも五言絶句ばかりが、総計十首か十五首しかない。その点は僕によく似て・・・ 芥川竜之介 「小杉未醒氏」
・・・それならば今日生徒に教えた、De gustibus non est Disputandum である。蓼食う虫も好き好きである。実験したければして見るが好い。――保吉はそう思いながら、窓の下の乞食を眺めていた。 主計官はしばらく黙っていた・・・ 芥川竜之介 「保吉の手帳から」
・・・“Je ne permettrais jamais, que ma fille s'adonnt une occupation si cruelle.”「宅の娘なんぞは、どんなことがあっても、あんな無慈悲なことをさせようとは思いま・・・ 著:アルテンベルクペーター 訳:森鴎外 「釣」
・・・“――Let us matchThis water's pleasant tuneWith some old Border song, or catch,That suits a summer's noon.”の・・・ 国木田独歩 「武蔵野」
Prof. Takematu Okada was born on August 17, 1874, In Husa of Tiba Prefecture, a sunny and peaceful riverside to・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・f the Pacific coast. When attending the Imperial University of Tokyo as a student of the College of Science he chose phy・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・ P君は moral という文字と ethics という言語に対して不思議な反感をいだいている。そしてこれに相当する日本語に対してはいっそうはげしいほとんど病的かと思われるほどの嫌悪を感じるようである。それで自分は丸善の書棚でこの二つの・・・ 寺田寅彦 「丸善と三越」
・・・「ここにあるのは Acorns でこれは Ambrose の事です。こちらにあるのが Rose で Robert を代表するのです。下の方に忍冬が描いてありましょう。忍冬は Honeysuckle だから Henry に当るのです。左りの上・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・ スコットランドのバラッドに Sweet William's Ghost というのがある。この歌は、或女の処へ、其女の亭主の幽霊が出て来て、自分は遠方で死だという事を知らすので、其二人の問答の内に、次のような事がある。“Is t・・・ 正岡子規 「死後」
出典:青空文庫