・・・一個条。ひとに物を云いつける方法。ひとに物を云いつける方法。第一、ひとにものを云いつけるときはそのいいつけられるものの目方で自分のからだの目方を割って答を見つける。第二、云いつける仕事にその答をかける。第三、その仕事を一ぺん自分で二日間やっ・・・ 宮沢賢治 「カイロ団長」
・・・いいと箇条をたてていってごらん。そら。」三郎は先生みたいな顔つきをして指を一本だしました。 耕助は試験のようだし、つまらないことになったと思ってたいへんくやしかったのですが、しかたなくしばらく考えてから言いました。「汝など悪戯ばりさ・・・ 宮沢賢治 「風の又三郎」
・・・「僕たちが世界中になくてもいいってどう云うんだい。箇条を立てて云ってごらん。そら。」 耕一は試験のようだしつまらないことになったと思って大へん口惜しかったのですが仕方なくしばらく考えてから答えました。「汝などぁ悪戯ばりさな。傘ぶ・・・ 宮沢賢治 「風野又三郎」
・・・「私はビジテリアン諸氏の主張に対して二個条の疑問がある。 第一植物性食品の消化率が動物性食品に比して著しく小さいこと。尤も動物性食品には含水炭素が殆んどないからこれは当然植物から採らなければならない。然しながらもし蛋白質と脂肪とにつ・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・今年の新卒業生が有害な制度の犠牲になるのを防ぐために、と職業安定法、労働基準法などの箇条を説明していられます。どのような職業につく人にもあてはまる――つまりことしから就職なさるみなさまのなかのある人々にもあてはまることとして。―― この・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・悧巧に、経済状態を考え、子等さえ過剰にしなければ、自分の情慾に、何のはじも感じないでよい、というような、物の考えかたを根本から立てなおす為、私共は、力のかぎり、あきらかな光明と、素朴な叡智とをのぞみ、求めて行かなければならないのです。平静に・・・ 宮本百合子 「男…は疲れている」
河上氏の私に対する反ばくは一種独特な説諭調でなかなか高びしゃである、が、論点が混乱していて、多くの点が主観的すぎる。河上氏は私が「読者の声を拒絶し、封じ」「一切の批判をさしひかえ」させようとするかのように書いているが、全く・・・ 宮本百合子 「河上氏に答える」
・・・ 日本にとって、本当にすがすがしい光であるはずの民主精神が、かげをもっている理由の第一は、一種独特な日本の心理過剰の現状ではないだろうか。 明治からの歴史に、私たちは市民社会の経験をもたなかった。悲しい火花のような自由民権思想の短い・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・ 昨今林房雄、小林秀雄、河上徹太郎その他の作家・評論家によって、今日の大衆が文学的関心を失っているという点が注目されている。この頃の普通人はどうも小説――純文学の作品に対して興味を失っている。大衆小説は読んでも、真面目な小説は読まな・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・ 河上徹太郎、小林秀雄諸氏によって、その伝記が余り詳らかでないシェストフは日本文壇に渡来させられた。シェストフはキエフ生れのロシア人で一九一七年にロシアからフランスへ亡命した評論家である。『ドストイェフスキーとニイチェ』そのほか六巻の著・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫