・・・ このベルリン時代は、大学の課目以外の真面目な研究でカールの生涯に一つの基礎をきずいた時期であった。ベルリンには、ヘーゲル哲学の進歩的な面をとりあげて、その弁証法的な方法を発展させようとする若い哲学者の一団があった。ヘーゲル左党と呼ばれ・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・小学校の課目に社会科という科が出来ました。社会科の時間に、子供たちの輿論調査が行われました。学校生活で一番希望されていることは、学用品・運動靴の配給や、給食をもっとほしい、ということです、子供達が住んでいる町にのぞんでいる第一のことは、遊ぶ・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・はる子は已を得ず学歴のことだの、専攻したという科目だのについて書いた。 ×夫人のところで不規則ながら収入のある仕事が与えられたという手紙が千鶴子から来た。間もなく使に出た家のものが、「すぐそこで小畑さんにお目にかかりましたよ」と・・・ 宮本百合子 「沈丁花」
・・・ そこで、スモーリヌイのレーニングラード・ソヴェト婦人部は文化部の事業として、この農村ソヴェト選挙準備のための夏期講習会を組織した。 期間。二ヵ月。 課目。ソヴェト政権とはなにか。世界の経済。党史。数学。ロシア語。 今ここで・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・若い女性の心にうごく願望に導かれて、それらの人はばらばらに図書館に来て、学校の課目や勤めの義務以外の勉強をしているうちに、段々互に顔なじみになり、話しがはじまり、御弁当のとき一緒に食堂へ行くようなことから、一つの集りが出来た。互に励しあい勉・・・ 宮本百合子 「図書館」
・・・何と楽しい課目! 生れて始めて凹んですき間の出来た股を 湯のなかで自分は愛撫した。 壁際の黒皮ばり長椅子に二十歳のターニャが脚をひろげてかけて居る。白い上被りの中で彼女は若々しい赧ら顔と金髪と大きな腹をもった綿細工人形みたいだ。・・・ 宮本百合子 「無題(七)」
・・・カザン大学のどの課目にもないゴーリキイ独特の「私の大学」時代が来たのであった。 ゴーリキイは淫売婦や貧しい大学生、人生の敗残者などがごたごた詰っているカザン市の貧民窟の一隅に、或る急進的な学生と暮した。 寝台が一つしかなかった。学生・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・その基準で、いわゆる家事科目を中心とした、女子教育の基準が決定されたのであった。これが今日まで女子教育方針の根柢をなしている。そのために外形上、女子大学、専門学校等が出来、何人かの婦人弁護士と、より多数の女医、沢山の女教師が出ている今日でも・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ 代数は今の女学生にとってどの位興味ある課目となっているのだろうか。三年生のとき、丁度女の子の感情が動揺し敏感になっている頂上の時に代数がはじまる。トルストイの「戦争と平和」の中のアンドレイ老公が女の愚劣さを制するためにと公爵令嬢マリア・・・ 宮本百合子 「私の科学知識」
出典:青空文庫