・・・ ソヴェト同盟の第一騎兵隊と云えば、革命第十三年の今日、なおソヴェトの農民の誇りだ。 第一騎兵隊は、ウランゲルの反革命軍を追っぱらった。第一騎兵隊はデニキンをやっつけた。第一騎兵隊はチェッコ・スロヴァキアの侵入軍をめちゃめちゃにした・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 附近に陸軍飛行機学校、機関銃隊、騎兵連隊、重砲隊などがある。開墾部落はその間に散在しているのだ。 南京豆と胡麻畑の奥に、小さい藁葺屋根の家が見えた。われわれ一行三人が、前庭に入って行くと、「よう!」 低い窓からこっちを見て・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・ナポレオン戦史講義 騎兵の操兵法チェスのようにして そういう日課が習慣となって来た、 p.91―若い少尉のあらゆる感覚が鈍って来た ○ ――殆ど自分自身に対しても深いケンオを抱くようになっ・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
・・・それからカザアキ騎兵の士官になってシベリアへ遣られて、五年間在勤していて、満州まで廻って見た。その頃種々な人に接触した結果、無政府主義になったのだそうだ。それから彼得堡の大学に這入って、地学を研究した。自分でも学術上に価値のある事業は、三十・・・ 森鴎外 「食堂」
・・・己は騎兵科で、こんな服を着て徒歩をするのはつらかったが、これがあれば、もうてくてく歩きはしなくっても好いと云って、ころころしていた司令官も、随分好人物だったね。あれから君は驢馬をどうしたね。」記者が通訳あがりに問うたのである。「なに。十・・・ 森鴎外 「鼠坂」
・・・ ナポレオンは河岸の丘の上からそれらの軍兵を眺めていた。騎兵と歩兵と砲兵と、服色燦爛たる数十万の狂人の大軍が林の中から、三色の雲となって層々と進軍した。砲車の轍の連続は響を立てた河原のようであった。朝日に輝いた剣銃の波頭は空中に虹を撒い・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫