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・・・をかかしめた、パリ帰来後の孤愁と象徴派との別離。結婚生活の重荷が反映している「背徳者」、それから六年間も間をとんで執筆された「狭き門」、三十歳のジイドの苦悩は、日夜自分の極めて知識人風な内的生活の探求の裡に棲んで、「汝は何ものかに役立たんと・・・
宮本百合子
「ジイドとそのソヴェト旅行記」
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・・・損になることはわしも嫌いじゃ。どうにでも勝手にしておけ」大夫はこう言って脇へ向いた。 二郎は三の木戸に小屋を掛けさせて、姉と弟とを一しょに置いた。 ある日の暮れに二人の子供は、いつものように父母のことを言っていた。それを二郎が通りか・・・
森鴎外
「山椒大夫」