・・・帰って、その晩はストーヴの前でいろいろ夜ふけまで二人の話せるあらゆる話題について話し、少しくたびれると、いねちゃんがタバコをのみながら詩集『月下の一群』を棚からおろしてよんだりし、又いろいろ話した。 今日になれば去年になったが、夏四日ば・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 現実生活の内部の矛盾は、行動主義文学者によってブルジョアジーと知識階級人一般の良心との激化する対立としてとりあげられたのであるが、日本におけるヒューマニズムの文学が提唱後四年経た今日に至っても未だ一種模糊退嬰の姿におかれているのは、社・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・『プラウダ』の批評は、対立の益々激化している世界の情勢並にトロツキイズムとの闘争の必要の上に立って、政治的な新聞の立場から執筆されている。私たちは更に時代的・性格的ポーズのつよい作家ジイドの諸矛盾の内から独自性にふれて分析し、批評の本質の真・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ 日本において、階級対立は激化しつつある。プロレタリアとして十分自覚を持たずプロレタリアの革命を知らない労農大衆でさえ急進的なインテリゲンチア、小市民を含んで、自然発生的に搾取と横暴に反抗しつつある。その度はますます高まるでしょう。この・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・ 日本のように、資本主義独裁と白色テロールの旺盛なところで、階級闘争は激化し、イディオロギー的差異は有無を云わせず作家の陣営を決定しつつある。既に一九二七年、右翼的固執を示した労芸の内部の情勢が三年間停止している筈はない。前田河が発表す・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・「仮にこの武器によって次第に階級闘争を激化させ」云々というところから一枚ばかりの間にある矛盾だらけの文章で、それは明かに示されている。筆者は、わる丁寧な言葉で、御教示を仰ぎたいとか何とか文学的修辞を並べているが、無用なことだ。 第一、プ・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・部落組合員は、経済恐慌と闘争の激化につれて「闘いのための生産へ!」というスローガンで市場へ売り出す白菜や南京豆の代りに、こういうものを作りはじめたんだ。 × 天井の棟から、五分芯ランプが下ってる。左翼劇場のビラの下に壁へ濃い陰影・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・プロレタリア・農民の激化する闘争の経験が、柔軟性豊かな、感情のあらゆる隅にまで浸透するボルシェビキ的日常性そのものとして立体的にとりあげられず、闘争面だけの小録として扱われたうらみがあった。 日本におけるプロレタリア文化運動が進展するに・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・そして、それから十年にわたる彼らの活動は、どんな歴史的特色をもっていたが故に、今日の困難な情勢の下に彼らが挫折しなければならないように、その内的矛盾を激化したのか。 そのいきさつが知りたいのである。ヨーロッパにくらべると二十年余もおくれ・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・階級闘争の激化につれて実際運動は益々縦へ縦へと細く鋭く鑿入しつつある。その前衛プロレタリアート大衆の階級的意志、実践を生のまま把握し、それを集団性ゆたかな芸術活動にうつし、プロレタリア芸術の確立に進むことは、決して楽な仕事でない。まだ多くの・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
出典:青空文庫