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・・・ 異才の弟子の能力に高田も謙遜した表情で、誇張を避けようと努めている苦心を梶は感じ、先ずそこに信用が置かれた気持良い一日となって来た。「ときどきはそんな話もなくては困るね。もう悪いことばかりだからなア。たった一日でも良いから、頭の晴・・・
横光利一
「微笑」
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・・・私は時にいくらかの誇張をもって、絶望的な眼を過去に投げ、一体これまでに自分は何を知っていたのだとさえ思う。 たとえば私は affectation のいやなことを昔から感じている。その点では自他の作物に対してかなり神経質であった。特に自分・・・
和辻哲郎
「生きること作ること」