・・・ 一九一四年の時代にヨーロッパ各国の資本主義的な経済が、それ以上拡大するためには、これまでよりもっと生産資源と生産品をさばく市場をひろげなければならないという互の利害の衝突から、第一次大戦がおこった。この現実の理由をはっきり理解すること・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・半ば眠り半ばは確乎と覚醒している厖大なアジアの一国、中国で、資本主義以前にありながら、しかも、目下の急速な世界情勢の動きにつれて、豊饒な民族資源が才能さえも含めていきなり最も民主的方法で開発される十分の可能をもっているという事実は、私たちに・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・職業紹介所は更に最近労務資源枯渇の現状に鑑み、銃後女子勤労要員制度というのを編み出した。十四歳から四十五歳迄の女子に三ヵ月ずつ期間を区切って午前十時から午後三時迄日給六拾銭で工場の労働をさせる。もともと家庭婦人の動員を眼目にしているから托児・・・ 宮本百合子 「働く婦人」
・・・日本のように、自分の国の天然資源が少い国土では、この点がよそより一層深刻である。 どこの国でも、ほんとに働いて暮す人民層は戦争に便乗して得るどんな利益もあり得ないことがこのたびの戦争で世界じゅうに経験された。だからこそ八千一万の婦人・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・それは資源の問題である。アメリカのすぐ利用できる資源は、工業生産において世界資源の八五パーセント。鋼鉄生産においても同じ。ソヴェトは一五パーセントである。石炭ではアメリカ八四パーセント。ソヴェト一六パーセント。石油アメリカ九〇パーセント、ソ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・後進資本主義国であり、天然資源の貧寒な条件におかれているだけ、一方に世界の帝国主義的な段階の特質をつよくあらわして来た。そうでなかったら、日本が明治以来、軍国主義でかたまる必要がどこにあったろう。日本の民主化の課題の複雑さは、われわれの生活・・・ 宮本百合子 「真夏の夜の夢」
・・・が天下の至言として流布された、そのような社会のとざしのなかに生きなければならなかった女の切ない境遇、その悲劇が芸術化されたからこそ人々の袖をしぼらせたのであったと思う。 日本でこのような「女大学」が現れた十八世紀のイギリスでは、女のおか・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
・・・アメリカの莫大なる天然資源、素晴らしい国内消費、不断に展開しつつある繁栄。これらもまた考慮に入れなければならない。西欧の資本家は利潤と返還資金を待望している。英国がこれらを供給しなければならぬ。 それ故労働組合運動は経済単位としての英国・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・天然資源にも乏しい。明治政府の本質というものは封建的な地主と軽工業に基礎を置いた非常に薄弱な資本家とによって組立てられていたものであって、この薄弱な基礎を護って権力を強化して行こうとするために、大名と武士から成る支配者たちは、誕生第一日から・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫