-
・・・自分の性質と要求との間の焦燥。自己を真実に活かすための種々の葛藤。自己の価値と運命とについての信念、情熱、不安。個性の最上位を信じながら社会的勢力との妥協を全然捨離し得ない苦悶。愛の心と個性を重んずる心との争い。個性と愛とを大きくするための・・・
和辻哲郎
「「ゼエレン・キェルケゴオル」序」
-
・・・そうして私は彼らの内に勇ましい生活の戦士を見、生の意義を追い求める青年の焦燥をともにし得ると思った。彼らの雰囲気が青春に充ち、極度に自由であることをも感じた。彼らの粗暴な無道徳な行為も、因襲の圧迫を恐れない真実の生の冒険心――大胆に生の渦巻・・・
和辻哲郎
「転向」