・・・それどころかコンムーナへ新規に入って来る者なんぞは一月に二三キロも目方が減るぐれえなもんだ。これでよく分る、『ブルスキー』へどんな連中がより集まったか。懶けもんだ! 天からマンナが降るのを待ってるみてえだ。ブルスキーの連中は自分で云っている・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・それ故、徒に新奇を競うて、外国人の営む生活の形骸を真似るのは、全く笑うべく悲しむべきことです。 併し、一国の文化、社会状態を観察した場合に、何時も、その裏面、消極的方面のみに注目するのは、果して妥当な態度でしょうか。 他人の話を聞き・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ どんなに陰気になっていても、彼女の年の持つ単純さが、新らしく彼女を取り繞った周囲に対して、驚くべき好奇心、探究心を誘い出し、ことごとに満たされ、ことごとに適度な緊張となる新規な習慣や規則が、実に無量の鼓舞と慰安とを与えたのである。・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・猪熊氏が画面の新奇なくみ合わせに自分から興じているように私には感じられたのであった。 ところで、今度洋画を出品している婦人画家の作品を見て、私は、寧ろ予期しなかった印象を与えられた。 材料的に見ても、生活の進歩性から見ても、ずっと自・・・ 宮本百合子 「帝展を観ての感想」
・・・ために、その主人はつかまっているがかつて飛び出した朝田の医院へ、新規蒔直しに何もかもやってくれという夫人の求めに応じて戻ることにする。その夜妻が姙娠しているときかされて、新鮮なショックを感じる。「そのとき彼の耳は既に、医者の耳でなく父親の耳・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫