・・・作家として、自己の帰趨に迷ったブルジョア作家の一部は、この退潮を目撃して、文芸復興の呼び声を高く挙げ、爾来この二三年間は古典の研究、リアリズムの問題、純粋小説の提唱、能動的・行動的精神の翹望が次々に叫ばれつづけて来たのであるが、文学の実際の・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・といっている福沢諭吉の言葉は、爾来四十余年を経た今日私たちの現実のなかで、はたしてどのように形をとって来ているであろうか。「新日本国には自から新人の在るあり、我輩は此新人を友にして新友と共に事を与にせんと欲する者なれば」と、敢て保守の人々の・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
・・・の文章をかりて云えば「爾来、星霜二十余年」今度社会正義に基くことをモットーとする近衛内閣によって、従来の「蚊文士」が「殿上人」となることとなった。「かかる官府の豹変は平安盛時への復帰とも解釈されるし、また政府の思想的一角が今日、俄かに欧化し・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
出典:青空文庫