・・・あのお邸の中に桑木厳翼さんの阿母さんのお里があって鈴木とかいった。その鈴木の家の息子がおりおり僕の家へ遊びに来たことがあった。 僕の家の裏には大きな棗の木が五六本もあった。『坊っちゃん』に似ているって。あるいはそうかもしれんよ。『坊っち・・・ 夏目漱石 「僕の昔」
・・・ 十月号『プロレタリア文学』に鈴木清がこの問題について「一歩前進か二歩退却か」という論文を書いている。この論文はいうべきことのまわりをまわりつつ、ついにかんじんの環をつかみそこねた論文である。筆者は、繰返し説得している、組織活動と創作活・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ ――○―― 小剣氏の様に又、鈴木氏の様にあまり物事がきっぱりきっぱりがすきと云う人は、私のきらいな人である。 あまりきっちりきっちりして居るところに驚くべき美がないと同時に、驚歎するだけの生活もないものである。・・・ 宮本百合子 「雨滴」
・・・ニューヨーク・タイムズ東京支局長リンゼー・パロット氏、AP東京支局長ラッセル・ブラインズ氏に対して日本人として鈴木文史朗氏が出席している、肩書はリーダーズ・ダイジェスト日本版編集長とある。座談会はロイヤル長官の談話そのほかいくつかのトピック・・・ 宮本百合子 「鬼畜の言葉」
・・・ 鈴木茂樹 これら二篇の中「白い激流」は、結核におかされた人々の発病原因となった生活事情、発病のためにおこって来る愛の破綻、療養の方法を発見するための意志的な努力など、すべての闘病者に共通な課題にふれて語っている。文学作品とする・・・ 宮本百合子 「『健康会議』創作選評」
・・・という特別投書欄の鈴木桂子の文章の上を叩いた。「え? こりゃ一目見たって素人が書いたものじゃない、誰です」「鈴木桂子と書いてあるじゃありませんか」「鈴木っていうのは何者だ」「知りません。投書だもの……」 自分は、「一・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・ 初めの部分に、鈴木君から作家である私という人物が、この話を書かないかとすすめられた時の気持が、或る立場をもつ作家の良心の問題として挾みこまれて語られているところがある。作者は、今日この部分をどう考えているであろうか。 中野さんが全・・・ 宮本百合子 「鼓舞さるべき仕事」
・・・は脱獄後の長英と親友鈴木春山とが描かれ、「三十年」は昨年の同じ作者による「シーボルト夜話」の続篇として書かれた。貴司山治氏の戯曲「洋学年代記」には、学者としての良心と達識とのために国法にふれた幕末蘭学者の一群と間宮林蔵の運命とが扱われた。村・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・その席上、ジャーナリストが自発的に執筆させないようにという形で、執筆禁止をした者、作家では中野重治、宮本百合子、評論家では岡邦雄、戸坂潤、鈴木安蔵、堀真琴、林要の七名があった。 益々その範囲を拡大するという風評と図書課長談として同様の意・・・ 宮本百合子 「一九三七年十二月二十七日の警保局図書課のジャーナリストとの懇談会の結果」
・・・をやっつけるために第一線に出動し、手紙の形式で同志藤森、須井を初め、同志川口、鈴木、黒島などを引き合いに出し、或いは「おこれ、おこれ」と叫んでいるのは、まことに奇妙である。多分今年の始めか、昨年末であったか、同志林が、同志小林多喜二について・・・ 宮本百合子 「前進のために」
出典:青空文庫