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・・・かくて直ちに相役の嫡子を召され、御前において盃を申つけられ、某は彼者と互に意趣を存ずまじき旨誓言致し候。 これより二年目、寛永三年九月六日主上二条の御城へ行幸遊ばされ、妙解院殿へかの名香を御所望有之、すなわちこれを献ぜらる、主上叡感有り・・・
森鴎外
「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
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・・・「武士は誓言をしたからは、一命をもすてる。よしや由緒があろうとも、おぬしの身に着けている物の中で、わしが望むのは大小ばかりじゃ。ぜひくれい」と言った。「いや、そうはならぬ。命ならいかにも棄ちょう。家の重宝は命にも換えられぬ」と蜂谷は言った。・・・
森鴎外
「佐橋甚五郎」