・・・ 今日、中間小説が一部の作家から現代文学の正統的な発展であるかのようにいわれている。だが、わたしたちが世界史のすすみゆく現実と、日本の人民の未来とを着実にみとおして、本当に日本の文学がより多数の日本の人々のヒューマニティを語るものとなる・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・総数四六四名の代議士が、各自所属している政党を眺めても、これは一目瞭然であろう。自由党 一三六名 五名 計 一四一名進歩党 八七名 六名 九三名社会党 八四名 八名 九二名協同党 一四名 ナシ ・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・に腐心して、一歩一歩人民の真の必要から離れつつある政党の首領たちは、その一歩ごとに「生ける屍」となりつつある。〔一九四六年一月〕 宮本百合子 「女の手帖」
・・・女らしく、お茶を立てて飲んだりしたが、政党間の利害は女らしさにも現実に作用して、こわれてしまった。そのとき新聞の批評は、どうであったろうか。「やっぱり女は」という表現が加えられた。共産党以外の諸政党における婦人代議士たちの立場は、あくまで女・・・ 宮本百合子 「「女らしさ」とは」
・・・嘗て「青鞜社」の活動の旺であった時代、伊藤野枝があなたのとなりに住んでいた時代、近くは急速な思想的動揺、歴史の転廻の時代、あなたはいつも其等の新興力に接触を保ち、作家として其等に無反応であるまいとする敏感性を示されましたが、しかし、それは常・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
・・・保守的な宗教家として正統的なものの考えかたをしている老牧師の娘である女主人公が、かねて愛しあっていた青年と、彼の出征の前夜、自分たちの結婚をする。若い二人は、その異常な別れの夜に、互の愛を互のうちに与えあわずにいられない熱情につき動かされた・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・「支那、大分騒いでいるらしいが――どう云うんだっぺえな――政党争いみたいなもんだっぺえか」 彼はつづけて質問的に云ったが、大学生達の居心地わるそうな、尻ごみした態度が明かになるだけで、一人が、「さあ」と曖昧に薄笑いしたぎり、・・・ 宮本百合子 「北へ行く」
・・・ 共産党は外の政党と全くちがう本質に立っている。政権をとることが自分の党の利己的な利益と一致した外のあらゆる政党と全くちがう。共産党は新らしい社会をつくるための党であり、より合理的な人間関係を生み出していくための党であるから、外の政党と・・・ 宮本百合子 「共産党とモラル」
新聞に、ぽつぽつと婦人代議士として立候補を予測される人々の写真などがのりはじめた。自分ではっきり立候補の計画をもっている婦人たちは、ふさわしいと判断した政党に入党手続をしたと報道されているし、立候補を予測されている人の中で・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ つい先頃、吉田内閣ができようとしていた数日前、『毎日新聞』は、各政党支持の世論調査というものを発表した。その世論調査では、吉田総裁の民主自由党が第一位を占めていた。『毎日新聞』の発行部数は百万と二百万の間と云われている。日本では、まだ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
出典:青空文庫