・・・東宝の争議も解決をいそがずに会社のアキンド根性に対して大きく幅広く文化運動をおこしていただきたい。我々は外から協力する、同時に国会も十分これに力を貸してほしい。〔一九四八年四月〕 宮本百合子 「東宝争議について」
・・・一月三十日、父の急死によって葬儀のために仮出獄した。二月。二月二十六日事件を裁判所で知った。小使がつい、予審判事に戒厳令という言葉を言ったために。三月。下旬、予審終結。ひどく健康を害していたために市ヶ谷からじかに慶応大学病院に入・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・婦人の参加しないストライキ、小作争議というものは、今日はもうどこにもありません。 大衆の先頭に立って闘うプロレタリアの党に献身的に活動する婦人がふえ、しかもあらゆる社会の層からそういう人々が出て来ることはまことに当然です。今後はますます・・・ 宮本百合子 「婦人党員の目ざましい活動」
・・・しかし一九三〇年における日本のプロレタリア美術展の作品が、主題としてソヴェトにあるものとは違う、市電争議を、農民の階級闘争を捕えて来ていること、ビラ張り、集会等、労働者の日常闘争を表現していることは正しい。革命十四年目にあるソヴェト・ロシア・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・ 現に十五六日前にも吾嬬の方のゴム工場で、戦争用毒ガスマスクなどを作る仕事が忙しいため強制残業がつづきすぎ、労働者から頻々と肺病人を出した結果、争議になりかかった。また月島の方のある工場ではやはり軍需品を嫌でも応でも温順しく作らせるべく・・・ 宮本百合子 「メーデーに備えろ」
・・・そして、小作争議は十一年度五千四百九十七件。関係人員五万二千九百五十二人。土地買上に対する小作権の継続等が主な要求となっているそうである。こうして見ると、直接農村に一般ラジオ加入者が多くなったとは云えず、寧ろ、中農、地主から没落した自作農等・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・ だが、女が工場に働き、農村で働くうちにストライキの経験、争議の経験などにより、プロレタリアートの幸福というものは自分達が団結して、皇帝、資本家地主と闘い、それをうち倒し自分らの手でうち立てなければならないものであることを知りはじめた。・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
二月二日に父の葬儀を終り、なか一日置いた四日の朝、私は再びそれまでいた場所へ戻った。初めてそこへ行った時と同じ手続で或る小部屋へ入り自分の着物は一切脱いで、肌へつける物から洗いさらした藍い物ずくめになり、沢山並んで夫々番号・・・ 宮本百合子 「わが父」
・・・三右衛門が重手を負いながら、癖者を中の口まで追って出たのは、「平生の心得方宜に附、格式相当の葬儀可取行」と云うのである。三右衛門の創を受けた現場にあった、癖者の刀は、役人の手で元の持主五瀬某に見せられた。 二十八日に三右衛門の遺骸は、山・・・ 森鴎外 「護持院原の敵討」
出典:青空文庫