・・・広大な地域をなかばアジアになかば西欧にしめるスラブ人も、イタリーや、フランスがそれを経験したようには経験しなかった。近ごろ、シェクスピアの芸術が、ルネッサンス時代における人間解放の典型としてふたたび評価されている。日本でも、近ごろ「真夏の夜・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・そこには綿が生え、駱駝しか歩けないような地域までひろがっている。ペルシャやアフガニスタンはすぐ隣りだ。蒙古と国境がくっついている。その中に、二十五の人種が棲んでいる。ロシアとひとくちに云っても、例えば第十六回ロシア共産党大会のあった時分のモ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ドンバス炭坑区を近くに持ち、大国営農場、機械工場をもち五ヵ年計画とともにソヴェト同盟の南方地域では屈指の重工業、農業の生産中心地となった。 ハリコフ市を中心とするウクライナはソヴェト同盟のプロレタリア文学とも縁が深い。ショーロホフの「静・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 私達はこの地球でもっとも広い地域を示している新中国の人民の勝利を、ただ「いいわね」と云って眺めたり、やたらにノボセタリしてはいられないと思います。 一九五〇年の私達の課題は日本が全面的な講和によって、次の戦争に利用する事の出来る従・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・ 公私逆立った既成政党の腐敗が、忽ち、婦人参政の新しい地域まで悪質な性病のような急スピードで蔓延しつつある。戦争犯罪によって頭株をとられた進歩党が、築地の待合に共産党をのぞく各派の主だつ婦人たちをよんで、出席した者に、進歩党内の重要なポ・・・ 宮本百合子 「逆立ちの公・私」
・・・生きてゆくやりかた、の根源には、その集団の定着した地域の自然的条件が重大に関係した。その意味で、生産の現実事情が、集団間の関係としての政治をきめたし、歌うこころもちの波の高低も、おのずから、その社会の生きるやりかたによって、ニュアンスをちが・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・書き方が小品との区別を明かにしていないようなところがありますが、ルポルタージュとしては、もっと具体的にその小学校のある地域の特殊性などをはっきり書く方がいいと思います。 所謂文学的な言葉のあやにかかずらう必要もないと思います。 母へ・・・ 宮本百合子 「新女性のルポルタージュより」
・・・そのドニェプル発電所の再建からはじまって、スターリングラードの名誉ある復興、ウクライナ全地域、ドン全区にわたる生産復興は、短波できくニュースでもわかるとおり世界をおどろかせる能率で捗っている。 文化の分野でも、戦後における再検討、より高・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・社会文化が生じて世紀を閲している今日では客観的な意味で、健全な恋愛のためには不毛地帯と呼ぶべきような地域が生じているからである。〔一九三八年十一月〕 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
・・・ 日本文化史総論は、そういう世界史との横の感覚も常に保ちつつ、先ず日本の社会と文化の項で、時代、地域、社会、民族と文化の関係を説明し、日本の文化の姿相と性格との項で原始時代から今日と明日の文化までを考えている。ただ明日の日本の新しい文化・・・ 宮本百合子 「世代の価値」
出典:青空文庫