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・・・造に、肥っておいで遊ばす、血の気の多い方、髪をいつも西洋風にお結びなすって、貴方、その時なんぞは銀行からお帰りそうそうと見えまして、白襟で小紋のお召を二枚も襲ねていらっしゃいまして、早口で弁舌の爽な、ちょこまかにあれこれあれこれ、始終小刻に・・・
泉鏡花
「政談十二社」
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・・・彼家じゃ奥様も好い方だし御隠居様も小まめにちょこまかなさるが人柄は極く好い方だし、お清様は出戻りだけに何処か執拗れてるが、然し気質は優しい方だし」と思いつづけて来てハタとお徳の今日昼間の皮肉を回想して「水の世話にさえならなきゃ如彼奴に口なん・・・
国木田独歩
「竹の木戸」