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・・・ ――我々が一室に二十人いるとき、或るものはたった二人でそこを占領してるという事実は、空間の問題を呈出するよ。 彼等は笑いながら、ぞろぞろ二階の教室へのぼってった。教授はまだ出て来ない。喋ってると、 ――一寸、しずかにして下さい・・・
宮本百合子
「ワーニカとターニャ」
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・・・には、この作家の弱点というべきものが典型を示していて、人間の生命の浪費が、当然向けられるはずの疑問もなく美化して呈出されているのである。 現代は歴史も、文学の現実に対するみかたもともに進展して来ているのだから、時代や永遠なものに対する個・・・
宮本百合子
「若き精神の成長を描く文学」