一九四五年の八月十五日からのち、日本の民主化がいわれるようになってから、いくつかの民主化のための委員会がつくられた。文化関係で、ラジオの民主化のための放送委員会、軍国主義の出版統制の遺風を民主化するための用紙割当委員会、出・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
・・・ 病気で苦しいとき、体さえ自分で動かせないとき、看護婦のまめまめしくて、統制のあるたすけの手は、たとえようのない慰安です。そのために、日本の看護婦の過労は、もっともっとどうにかされなければならないと思います。どこの病院でも、看護婦は不足・・・ 宮本百合子 「生きるための協力者」
・・・ところが、当時の情報局文化統制は、講談社、主婦之友を極端な軍国主義に動員することで好戦意識を宣伝していたから、谷川氏の平衡論はその現実のなかで、日本のより高い理性をもつ文化能力を抹殺する理論づけになった。戦争について意見をもつ文化は、少数者・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ソヴェトではあらゆる生産が計画的生産であるから、管理者は、工場内の専門技師、工場委員会などを確りと統制し、過渡的なソヴェト社会の具体的困難を突切って、社会主義的な生産を高めて行かなければならない。ソヴェトは、この工場管理者には、出来るだけ労・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・平常から各劇場の上演目録は特別の統制機関によって選ばれている。 いつもその時ソヴェトの全勤労者がおかれている社会的情勢、細かく云えば党と職業組合との決定した線にそうて新らしい脚本は選ばれている。 ピオニェールの挨拶は何という言葉か?・・・ 宮本百合子 「インターナショナルとともに」
・・・ソヴェトの建設について「思想も統制」されることについて、私たちの日常生活は切れない影響をうけているのだから、それらは芸術化されなければならず、更にこういう主題こそ一層の形象化、具体性を必要とすると思われます。詩人の間に諷刺詩の制作の要求がお・・・ 宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
・・・音楽が風や濤声や木々の葉ずれのような自然現象ではなくて、社会生活を営む人間の声であることが深く深く理解され、身をもって経験されて、はじめて将来の音楽発展への希望の土台も与えられる訳です。〔一九三八年一月〕・・・ 宮本百合子 「期待と切望」
・・・ あらゆる面で統制化されてゆくこの頃の事情は、それらの根本的な問題にどんな光明を投げるだろうか。漁村の婦人の生活の向上ということも、それだけを切りはなして語ることは出来ないのだと思う。 漁村の小学校での教育法というようなことについて・・・ 宮本百合子 「漁村の婦人の生活」
・・・翅の薄い、体の軟い弱い蝶々は幾万とかたまって空を覆って飛び、疲れると波の上にみんなで浮いて休み、また飛び立って旅をつづけ、よく統制がとれて殆ど落伍するものなく移動を成就するのだそうである。歴史の一こまを前進させるという人類の最も高貴な事業が・・・ 宮本百合子 「結集」
・・・供出したがらないには、農業会、統制会、その他の全配給機構への農民の不信任があるのだし、第一には、これまで俺たちは騙されていた、という支配権力に対する深い思いが原因しているのである。 都会の消費者は、目前の食糧難に気がたって、つい農村を羨・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
出典:青空文庫