・・・ もっとも、私はいつかあるお茶屋で、お内儀が芸者と次のような言葉をやりとりしているのを、耳にした時は、さすがに魅力を感じた。「桃子はん、あんた、おいやすか、おいにやすか。オーさん、おいやすお言いやすのどっせ。あんたはん、どないおしや・・・ 織田作之助 「大阪の可能性」
・・・ もっとも、私はいつかあるお茶屋で、お内儀が芸者と次のような言葉をやりとりしているのを、耳にした時は、さすがに魅力を感じた。「桃子はん、あんた、おいやすか、おいにやすか。オーさん、おいやすお言いやすのどっせ。あんたはん、どないおしや・・・ 織田作之助 「大阪の可能性」
・・・お内儀さんもいて、「雑誌に参ちゃん、参ちゃんて書きはりましたさかい、日配イ行っても、参ちゃん参ちゃんでえらい人気だっせ」 そしてこちらから言いだす前に「改造」や「中央公論」の復刊号を出してくれた。「文春は……?」「文芸春秋は貰っ・・・ 織田作之助 「神経」
・・・お内儀さんもいて、「雑誌に参ちゃん、参ちゃんて書きはりましたさかい、日配イ行っても、参ちゃん参ちゃんでえらい人気だっせ」 そしてこちらから言いだす前に「改造」や「中央公論」の復刊号を出してくれた。「文春は……?」「文芸春秋は貰っ・・・ 織田作之助 「神経」
・・・なんだい、あんなお内儀と、石田を取ってやるのがいい気味であり、そしてもう石田を細君の手に渡したくなかった。二人の仲はすぐ細君に知れて、彼女は暇を取り、尾久町の待合「まさき」で石田に会った。情痴の限りを尽している内にますます石田と離れがたくな・・・ 織田作之助 「世相」
・・・なんだい、あんなお内儀と、石田を取ってやるのがいい気味であり、そしてもう石田を細君の手に渡したくなかった。二人の仲はすぐ細君に知れて、彼女は暇を取り、尾久町の待合「まさき」で石田に会った。情痴の限りを尽している内にますます石田と離れがたくな・・・ 織田作之助 「世相」
・・・ もう一度松本に挨拶し、それからそこのお内儀に、「えらいおやかまっさんでした。済んまへん」 と悲しいほどていねいにお辞儀して、坂田は出て行った。松本は追いかけて、「君さっき大阪へ帰りたいと言うてたな。大阪で働くいう気いがある・・・ 織田作之助 「雪の夜」
・・・ もう一度松本に挨拶し、それからそこのお内儀に、「えらいおやかまっさんでした。済んまへん」 と悲しいほどていねいにお辞儀して、坂田は出て行った。松本は追いかけて、「君さっき大阪へ帰りたいと言うてたな。大阪で働くいう気いがある・・・ 織田作之助 「雪の夜」
・・・と、他の内儀達に皮肉られた。 二 おきのは、自分から、子供を受験にやったとは、一と言も喋らなかった。併し、息子の出発した翌日、既に、道辻で出会った村の人々はみなそれを知っていた。 最初、「まあ、えら者にしよう・・・ 黒島伝治 「電報」
・・・と、他の内儀達に皮肉られた。 二 おきのは、自分から、子供を受験にやったとは、一と言も喋らなかった。併し、息子の出発した翌日、既に、道辻で出会った村の人々はみなそれを知っていた。 最初、「まあ、えら者にしよう・・・ 黒島伝治 「電報」
出典:青空文庫